6代目ステップワゴンのデザインコンセプトについて、エアーのデザインを担当した花岡久和氏は次のように述べている。
「安心と自由をそのまま表現したいという考えから、コンセプトである『素敵な暮らし』が見ただけで伝わるデザインを目指しました。その手法は、『表面のディテールではなく、カタマリで表現する』こと。徹底したシェイプのバランス調整と細部にわたる入念な処理で、ミニバンとしての本質・本物感を追求しました」
その説明どおり、ステップワゴンエアーを見た第一印象は、シンプルで爽やか。いい意味でクルマ自体に強い主張を感じることのないクルマであった。
また、初代や2代目を彷彿とさせるスクエアなデザインに、「フィヨルドミスト・パール」などの明るく優しい5色のカラーが組み合わされることで、“そこにあるのが当たり前”というような、安心感のあるデザインとなっている。
AIRとSPADAのカラーバリエーション展示(写真:尾形文繁)
一方のスパーダのデザインを担当した大西優一氏は、「スパーダのコンセプトである『もう1つの、素敵な暮らし』を実現するために、家族をしっかりと守る存在にしたいという想いがありました。みんなが安心して自由にどこまでも移動できるよう、力強い存在感ある佇まいと伸びやかなシルエットを追求しています」と説明。
キリっとした力強い印象のフロントマスクや、ボディ下端をぐるりと一周するメッキモールが独自の印象を与えると同時に、「トワイライトミスト・ブラック・パール」など塊感のあるダークな5色のボディカラーが用意され、エアーとは正反対ともいえる重厚で上質な存在感のあるデザインとなっている。
インテリアはどう棲み分けているのか?
「家族みんながリラックスできたり温もりを感じられたりといった、安心感を重視した」というインテリアも、エアーとスパーダでテイストを異にする。
エアーは、温かみのあるカラーを用いた明るい室内で、リビングのような安心感を。スパーダは、スタイリッシュな印象を与えるダークカラーで、上質さを演出し、棲み分けを図る。
ウエストラインとつながる水平なインストルメントパネルが特徴的(写真:尾形文繁)
また、「共働きが増えて日々を忙しく過ごしている家族に、もっと気軽に子どもと出かけていただくにはどうしたらよいか、を一番に考えた」として、両感覚をつかみやすくするための工夫が随所に凝らされている。
たとえば、窓の稜線を水平に揃えると、フロントフードの端まで見えるように視界を確保。高速道路への苦手意識や不安を取り除くために、「守られている」と感じる高さにベルトラインを設定したことも新しい。
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