集中力が続かない、頭が働かない……。やる気や意志の力だけでは、どうにもならないのがこの手の「仕事」問題。
おや、この人は柔道家で起業家の野村忠宏さん。
ところが、生活習慣病の治療をメインに行う医師の土田 隆先生は「
仕事のパフォーマンスを最大化するカギはプロテイン」と言う。
そこで、元柔道選手として現役の頃からプロテインを愛用し、現在は起業家として活躍する野村忠宏さんが、土田先生を直撃。
前半では、その真相を解剖してもらいつつ、後半ではクレバーのプロテインを用いた「仕事に効くプロテイン術」を実践してもらった。
対談してくれたのはこの2人!
野村忠宏●株式会社Nextend代表取締役。柔道男子60kg級で、オリンピック柔道史上初、さらに全競技を通じてアジア人初となる3連覇を成し遂げたレジェンド。引退後は国内外で柔道の普及活動を行い、スポーツキャスターやコメンテーターとしても活動する。
土田 隆●よこはま土田メディカルクリニック院長。多くの患者の肥満治療、生活習慣の改善を行う。テレビや雑誌、講演などでの啓蒙活動も積極的に行っている。著書も多数。
プロテインが仕事のパフォーマンスを上げるワケ
野村 高校時代からプロテインを摂取しているのですが、仕事のパフォーマンスを上げるという視点は初めて知りました。
土田 プロテインは筋肉をつけるためのもので、ボディビルダーやアスリートが飲むものと思われていますよね。
野村 はい。昔はパウダーが水に溶けにくくて、お世辞にも美味しいとは言えませんでした。でも今は味のレベルが格段とアップしましたし、コンビニなどにも置かれているので、一般の人が手に取りやすい環境になってきていますよね。
土田 プロテインというのはタンパク質のことで、アミノ酸の混合体です。つまりアミノ酸の組み合わせによって働きが変わってくるということ。
昔は筋肉のためのプロテインでしたが、今は発想がちょっと変わってきていて、
免疫力をつけたり、体の健康状態を保つための商品が多くなってきています。
野村 では“仕事の効率を上げるプロテイン”というのがあるのですか?
土田 まずは
何をしている状態が仕事の効率を下げるのかを考えてみましょう。野村さんはもともとアスリートですが、現役時代、最初から最後までずっとゾーンに入っている状態を保つのは可能でしたか?
野村 いえ、ゾーンの状態を作ることは自分ではできません。できることといったら、極限まで集中力を高めること。でも1時間持続できればいいほうです。
土田 そうですよね。学校の授業1コマは、小学校で40分、中学・高校で50分くらいですよね。あれは実は理にかなっていて、人間が集中力を持続できる時間は、そのくらいなんです。
つまり90分の大学の講義は脳科学的にはあまり意味がない(笑)。仕事も同じで効率を考えたら、40〜50分集中して、休息を入れて、脳を復旧させることが大切です。
ここで注意したいのが、
脳を働かせるための栄養素「糖の不足」です。
野村 糖質を摂ればいいということですか?
土田 そうです。ただ、闇雲に甘いものを食べればいいという話ではありません。実は糖質を摂るだけでは持続力がないのです。
そこで、
プロテイン(タンパク質)も一緒に摂ってあげるというのが正しい使い方です。糖質は1〜2時間で吸収されますが、タンパク質は3〜4時間かかります。糖質だけでエネルギーを加えるよりは、プロテインがあったほうが長い時間、良いコンディションを保つことができます。
野村 なるほど、プロテイン(タンパク質)も摂ることで、脳のエネルギーをより長く持続させることができるのですね。ところで集中力と血糖値は関係しますか?
土田 します。血糖値が下がっているときは、脳の働きが悪くなります。健康な人だと、食事を摂ると30分ほどで血糖値が上がり、2時間ほどかけて下がっていきます。このときに問題なのは、ゼロに戻るのではなく、マイナスまで下がってしまうということ。
食後90分から2時間前後、血糖値がマイナスの状態のときに脳の働きが落ちます。人によっては眠いと感じることもある。
野村 ということは、血糖値が落ちるタイミングで少し何かを食べるといいのでしょうか?
土田 そうです。糖質とタンパク質が吸収されるまでに3時間ぐらいかかるので、
昼食後3時間経ったら、間食をするといいでしょう。
野村 間食にいいのは、糖質やプロテイン(タンパク質)を含んだものが理想?
土田 はい。糖質にプロテインをプラスすることで、血糖値の急激な上昇を抑えることできます。血糖値が上がりすぎると、インスリンが多く分泌されてしまうため、その反動で眠気やだるさを引き起こします。
ですので、
糖質とプロテインをバランスよく含んだお菓子や、フルーツなどがおすすめです。
カロリーは200kcal程度で抑えましょう。それ以上になると、脂肪がつきやすくなります。
野村 間食の種類と量には気を付けないといけませんね。
土田 ちなみに、プロテインを摂取する利点はほかにもあります。
体の組成のほとんどはタンパク質でできているため、タンパク質が十分に取れていると、
肌にハリやツヤが出てきますし、免疫力をつけることができます。また、アミノ酸にはセロトニンなどの
脳内ホルモンを活性化させる働きもあります。
野村 ビジネスパーソンのコンディショニングにも大きな影響を及ぼしているのですね。ところで最近はリモートワークが普及し、パソコンの前に座ったままの人も多いと思います。プロテインのほかにおすすめのリセット法はありますか?
土田 同じ姿勢で動いているのは手だけという状態が長時間続くと、体はガチガチになります。すると血液やリンパの流れが滞り、せっかく摂ったタンパク質が全身に行き渡らない。体をほぐしてあげることが大切です。
おすすめは腕回し。腕をまっすぐ伸ばして、大きく回してください。肘を伸ばした状態で回すことが大事です。こうすると指先まで血液が行き届きます。10分やれとはいいません。仕事の合間に少しでいいので取り入れると、明らかに作業効率は上がります。
野村 なるほど。競技引退後は、古傷のリハビリや気分転換のトレーニングのあとにプロテインを摂取していましたが、仕事中にも積極的に取り入れてみたいと思います。ありがとうございました!
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