新たな発見があると思うと年齢を重ねることが楽しみ
12月8日に48歳を迎えたばかりの現在の心境を訊きつつ、これまでの道のりを改めて振り返ってもらった。過去の自分と向き合うように、ひと言ひと言を絞り出す。
「若い頃は48歳になった自分なんて想像していませんでした。今の気持ちに特に変化はありませんが、とにかく人に恵まれていたなと思います。
そうそう、先日早朝ロケをしている際中に、自転車に乗った野球帰りの年配のおじさんから『安田くん! 僕のこと覚えてる?』って、声をかけられて、それが25歳頃に映画の撮影でお世話になったカメラマンさんだったんです。
旧交を温めている最中に、今自分はキャリアを重ねたことで若いときにはできなかったことが確かにできているけれど、当時の自分は本当に何もできていなかったなということを思い出したんです。
ロケをしていた作品では20年前の自分とちょうど同じ年代の役者さんと共演をしていたのですが、彼らはすごく一生懸命芝居に打ち込んでいたんです。そのときに改めて気付いたのは、大事なことは年齢じゃないということ。
さっきのザ・ブルーハーツの解散ライヴではないけれど、必死に何かに取り組んでいる人たちって格好いい。またそういう人に対しては、やっぱり尊敬の念が生まれるなって。
懐かしい出会いがあったおかげで、現場にいる人たちに対するリスペクトの気持ちも生まれたし、同時に自分ももっと頑張らないといけないと思えるようになりました。今後も年齢を重ねることで新たな発見があると思うと楽しみです」。
最後に、今日の撮影の感想をたずねると、苦笑いを浮かべながらイタズラがバレた子供みたいに答えた。
「撮影中に着けさせてもらったカルティエの腕時計が良かったです。腕に着けるとやっぱりうれしくて、撮影中はついつい笑顔になっちゃいました。
現金なものでね、ついさっきまで“汗かいてなんぼ”とか言っていたくせに。しかもこんなにも気品のある腕時計、キャラに合ってないですよね。もう、恥ずかしい(笑)」。
そう優しい笑顔をたたえ恭しく挨拶をすると、ここでも恐縮しながら席を立つ。やっぱり安田は驚くほどシャイなのだ。
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