古いアパートの階段を3階まで上り、見えたのはペイントされた扉。
数歩進めば行き止まる狭い室内で、店主である現代アーティストの加賀美健さんが出迎えてくれた。
訪れたのは渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。
加賀美 お久しぶりです!
渡辺 元気そうだね。久しぶり。昔、僕も(加賀美)健くんもモデルをやっていて、撮影で一緒になったこともあったね。しかも、健くんはスタイリストの馬場圭介さんのアシスタントでもあって。ついていたのは6年間くらい?
加賀美 ですね。小学校に通う年数、まるまるアシスタント生活でした。
渡辺 その頃からキャラは立っていたし、いい意味で人と違うことを気にしないヤツだから、アーティストになったときは驚いたけど意外でもなかった。
加賀美 アシスタントを離れて1年半ほどサンフランシスコに留学していて、その経験も影響していると思います。
渡辺 向こうは何が面白かった?
加賀美 ホームレスが開いているフリマとか楽しかったですね。道で拾ったものとか売ってたり。
渡辺 すごそうだね。で、日本に帰ってきたら、変な店をやり始めた(笑)。
加賀美 モチーフは、高円寺にあった4畳半ほどの店。アパートの一室で、個人で自由にやっている感じが良くて。
渡辺 だからここ、あまり開いてないのか。前、何度か来たら閉まってたよ。
加賀美 開けても人が来ないんですもん(笑)。コロナ禍で海外のお客さんも来られないし。
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