11月下旬、冷え込む渋谷のスクランブル交差点を抜け、隠れ家カフェ「BOMA Tokyo」に集まったオーシャンズ読者の皆さん。張り詰める寒さの中、お店に足を踏み入れると、ほっとする音色がその空間を包んでいた。
30〜50代までの幅広い年齢の皆さんがお目当てにやっていたのは、オッサンの新しい趣味を提案する「オーシャンズとレジャーの会」の第7回目。テーマは「冬でもハワイアンなウクレレ講座」だ。なぜこの時期にウクレレなのかって? それは凍える冬にこそ、優しい音色が心を暖かくしてくれるから。それにクリスマスのパーティで使える曲を覚えてしまおうというわけだ。
講義が始まる前から穏やかな音色を奏でて、みなさんを出迎えてくれたのが、講師を務める「ukulele studio 七里ヶ浜」代表・三井達也さん。ウクレレ教室の講師を行うとともに、ウクレレ自体を制作する“ビルダー”としても活躍する専門家だ。
まずは三井さんのご挨拶。
「今日は時期も時期なので、クリスマスシーズンにぴったりな曲を用意しました。少し時間もありますし、クリスマスイブまでに仕上げていただければ。みなさんよろしくお願いします」。(三井さん、以下同)
三井さんの穏やかなトークから講座はスタート。実践の前にウクレレを深く知るための座学である。
「じつはウクレレってここ10年でやっと認知度が上がってきたんですね。あまり歴史が知られていないので、こんなものを用意しました」。
取り出したのは、ウクレレに関する年表。1800年代にアメリカから宣教師がきてフラダンスが禁止されたこと、その後復活してハワイ音楽が進化したこと、ポルトガルから渡ってきた「ブラギーニャ」がウクレレの原型になったことなど、歴史好きにはたまらない情報がギッシリ。
他の楽器に比べて“歴史が浅い”というウクレレだが、ハワイとともに政治や宗教に翻弄されつつ、その歴史を歩んできた。そして、そんなウクレレは、コードではなくメロディが弾かれるようになった20年ほど前から日本でも一般的に人気が出てくるようになったという。
ウクレレの各部の名称など基礎知識も習ったところで、お待ちかねの実践演習。今回のお題曲はWham!の名曲『Last Christmas』だ!
「まずは持ち方から。小脇に抱えるようにして、少し斜めに。ボディの穴の真上ではなく、もう少しヘッド寄りで弾く方がいいですよ。指は上と下から力を抜いて、自由にぶらぶらさせましょう。あと、指の爪ではなくて、指の腹で弾くと柔らかい音が出ます」。
三井さんが用意してくれた楽譜では、必要なコードは4つだけ。まずは最も簡単な「C」、そして「Am(Aマイナー)」を習得。初体験の人ばかりとは思えないほど、綺麗な音色が会場中に響き渡る。
ただ、「Dm(Dマイナー)」と「G7」のコードを弾くのに大苦戦。弦を押さえる指が、ふだんはしないような形に……指がつってしまいそう。メロディに合わせて行うのは難しい。
通し演奏をしてみたけれど、やはりDmで不協和音が……。難しすぎてちょっとした苦笑いが会場に起こった。そこで三井さんから助け船。
「もし辛いようだったら、DmとG7は薬指を外しても大丈夫ですよ。ただ、繰り返し練習するしかないので、みなさん自由に練習してみてください」。
自分なりのペースでウクレレと向かい合う。こんな時間は学生時代以来かも、初めての楽器に触れるっていうのはなんて新鮮な時間なんだ。
そして、一旦小休止。その間、三井さんの“ビルダー”ならではのウクレレの構造や種類ついての解説が。
ウクレレは、小さいほうからソプラノ・コンサート・テナーの3種類。弦の長さが違うので、音色と抑えやすさ、そして適した曲調も変わってくるのだとか。
「ソプラノとコンサート。音程は同じなのですが、弦の長さが違います。長いと張りが強くなり、押さえる力が大きくなるんです。ちなみにボディが大きいと、弾いてから音が出るまでに少しタイムラグがある。ボディが薄いと音の立ち上がりが良いんですよ」。
なお、かの有名なジェイク・シマブクロが使っているのは、テナーサイズ。力が必要だから腕ががっちりしているのだそうだ。
また、ちょっぴり上級編の知識もレクチャー。ここで教わったのは、コードではなく、ドレミの弾き方。弾き方は2パターンあり、1つの弦で音階を調節する弾き方、もう1つはネックに近い1〜3弦を利用して弾く方法だ。
ん? なんでこんなことを挟むのだろう。いやいや、興味深いからいいのだけれど……と思っていたら、「1度練習した後に、休憩して別のことをやると記憶が残りやすいんですよ」と三井さん。さすがは講師歴が長いだけいらっしゃる。
そうして迎えた最後の通し演奏。メトロノームの鈴の音に合わせ、クリスマス感に拍車がかかる。三井さんの優しい歌声と相待って、みんなの音が綺麗に揃う。歌を歌う余裕がある人もいて、温かなウクレレの音色が会場を包む。最後は「C」のコードでジャラララランと締めくくり、自然と拍手が湧き起こった!
大成功で終わったウクレレ講座。終了後に、参加者の方に話を聞いてみたところ、「コード変更が難しかったけど、続けてやってみたいですね。自分なりに満足できる仕上がりになりました」「リフレッシュする機会になりました。 楽器を触ったことがなかったのですが、今後続けてみたいですね」とのコメントも。
三井さん曰く、「たどたどしいのも可愛く聞こえるのがウクレレのいい所。生活の近い楽器なので、ソファにポンと置いてポロポロと気軽に弾いてほしい」。
これを機に、ウクレレ人口がちょっぴり増える予感のする、温かな雰囲気のひと時だった。なお、当日の様子はムービーでも確認することができる。みんなで奏でた『Last Cristmas』をぜひ聴いてみてほしい!
なお、「オーシャンズとレジャー」のイベントは、今後も開催予定。【1月28日(日)】には
「バリスタに学ぶハンドドリップ煎茶」を実施する。
くつろぎのお茶タイムに、 “ハッとする瞬間”という特別な価値を加えるスペシャルなお茶体験。洗練された日本茶を提供してくれる東京茶寮 三軒茶屋店に学ぶ、おいしい煎茶の入れ方とは? 締め切りは【1月14日(日)】。特別な体験をしてみたい方は奮ってご参加いただきたい!