「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは…… ジュエリーは結婚指輪くらいで、シルバーものもまったく着けることがないんですが、クロムハーツのキーチェーンだけはもう6年くらい愛用しています。
キーホルダーでは短いし、ウォレットチェーンだと長すぎるけれど、このキーチェーンはクリップをベルトループに付けると、鍵がちょうどポケットに入るという長さ。チェーンが造形的で美しく、経年変化で黒ずんできたのも気に入っています。
ずっしりとした重みも、これなら絶対なくさないという安心感アリ。クリップ部分のバネが弱くなったら修理可能で保証書も付いているのですが、まだ修理に出したことはありません。
昔から「クロムハーツでいつかキーチェーンを買おう」とは思っていましたが、実際に買うことになったのは、クロムハーツの創始者であるリチャード・スターク氏が来日したとき。
彼がユナイテッドアローズでノンネイティブのTシャツを4枚も買ってくれたという話を聞いて、「じゃあ僕も買わなきゃ!」と、すぐにクロムハーツのショップに走ったのでした。ずっと買おうと心に決めていたのでいい機会でしたね。そういえばあのとき、ショップで偶然居合わせたリチャード氏と記念撮影もしたっけ。
28万1600円/クロムハーツ(クロムハーツ トーキョー 03-5766-1081)
クロムハーツの「キーチェーン」
ブランドのアイコニックなアイテムのひとつ、クリップタイプのキーチェーン。クリップ部分にはクロスボールモチーフ、リング部分にはダガーモチーフがあしらわれ、ディテールまで精緻に作り込まれた、世代を超えて愛される名品。
10代の頃はアメリカ村で古着を探したり、バスケットをやっていたのでエアジョーダンを履いたりと、ファッションの入り口がアメリカンカルチャーだったせいか、やはりアメリカの空気を感じられるブランドが好きです。パタゴニアにリーバイス、もちろんシュプリームも好き。
クロムハーツはとにかく世界観がしっかりあって、遊び心があるのにラグジュアリーだし、男っぽくもあるし女らしくもある。
アートのマインドがありつつ、ストリートの匂いもして、伝統とかクラフツマンシップをあえて謳わない軽やかさもいいですね。広告ビジュアルを見ても、ずっとブレないところがかっこいい。ブランドとしての揺るがない立ち位置が見事だと思います。
そういえばブランディングがうまいといえば、やはりアップル。ストリート感があるところも似ています。いいモノって、それ自体だけではなく、背景にあるカルチャーにお金を払いたくなるんですよね。
[藤井隆行 プロフィール]
東京を代表するブランド「ノンネイティブ」のデザイナーで、ファッションからライフスタイルまで一貫したこだわりを持つ。最近は自宅のバスルームのリフォームが始まり、風呂グッズを買い漁る。「意外と安価でも良いデザインのモノが多くて驚いています」。
「藤井隆行の視点。私的傑作批評」とは……
世の中のありとあらゆるプロダクツから、「ノンネイティブ」藤井隆行さんが独自のセンスと審美眼でモノをセレクト。デザインとは? 実用性とは? 買い物の醍醐味とは? ブランド名や巷の情報に惑わされず、本当に自分に必要なモノと出会う方法を指南。
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