もう25年ほど続けているサーフィンを除けば、長続きした運動はひとつもない。そのサーフィンも健康やウェルネスといった志向から続けているわけではなく、モテそうという若気の不純だった動機を引きずり、魔力的とも例えられる波に乗る瞬間を味わい続けたいという刹那的な理由からでしかない。
そういう性分だから、レクリエーション的楽しさを伴わぬ“今日の成果”が見えづらい運動、すなわち「ジム」「トレーニング」といった“意識高い系”に手を出すなんて論外だった。が、なぜ変わったのか。理由はふたつ。
「オーシャンズ」編集長 江部寿貴 Age 44●身長/172cm、体重/59kg、体脂肪率/11%、コンプレックスのある部位/腹と細い手足、なりたいカラダ/「海パン一枚で堂々サーフィンできるカラダ」、ジム経験/まったくなし
ひとつ目。腹の“たるみ”をどうにかしたかった。
2020年末、自ら実験台となったファスティング企画で大成功(体重65kg→59kg、体脂肪率16%→10%弱)を収め、痩せ型なのに腹だけに蓄えた贅肉を落とすことができて、人前で脱げるカラダになったかと思いきや、急激な体重減少にカラダの外側が追いつかず腹の皮がだらしなく残ってしまったのだ。自宅で独学腹筋運動を続けてきたが、一向に変化なし。
ふたつ目。昨夏サーフィン競技が初開催された2020東京五輪に影響され、もっとうまくなりたい!という欲求が高まった。でも、何をどうすればいいの?
総合フィットネスジム、24時間営業ジムといった選択もあったのだが、これを学習環境に置き換えて考え「大手学習塾」では自分は置いてけぼりにされる、「自習室」では自発的に勉強しない、と思った。
そもそも「わからないことがわからない」。学生の頃、勉強していていつもそう思っていた。だからどんどん嫌いになる。
見かねた親が、親戚づてに紹介してもらったトーダイ生のお兄さんを個別指導の家庭教師として我が家に招いたのだが、まぁその人がすごかった。魔法のように「わからない」をスルスルとわからせてくれたのだ。学校だろうが、塾だろうが、参考書を開こうが、わからなかったやつを。
そんなことを、ふと思い出させてくれましたね。パーソナルジムが。
人生初のジム体験。いろいろ発見アリ。60代で「モテたい」と門を叩き、見事成就した人がいるという噂を聞いて勇気とやる気が出た。
趣味のスポーツがうまくなりたい、腹筋割りたい、健康になりたい、腰痛をどうにかしたい、モテたい。いわば習得したい&苦手な教科や単元ごとに何をどうすればいいか寄り添ってくれるから、実は効率がいいのだ。
あと、場所ではなく人(=トレーナー)との契約関係だから、サボりたくなったときに生まれる罪悪感が三日坊主の予防にもなってくれる。当然といえば当然のことだが、体験してみて実感したのだ。
これを書いている今、週1回のトレーニングに通い2カ月が経とうとしている。まだカラダに変化はほとんどない。
飽き性の僕を見透かしてか毎回異なるメニューを用意し、斜に構える僕を説得するようにそのメニューが何を目的にしているかをロジカルに説明してくれるトレーナー。バーテンダーとの会話のように世間話や身の上話を交えながらじわじわ鍛えている感覚だ。
来夏、どこかの海で上半身裸で波を軽快にライディングしている僕の姿を見かけたら、この企画の大団円、成功です。でもひとつ言えるのは、毎週「通うこと」自体が楽しくなってきているのは確かだということ。トレーニング後の筋肉痛はツラいけれど。