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時代の経過とともに変化する中綿の価値

シェラパーカのデザインを継承した中綿仕様のベスト。中綿から生地、ジッパーまですべての素材がペットボトルをリサイクルして作られている。「キャンプシェラベスト」3万5200円/ザ・ノース・フェイス(ゴールドウイン 0120-307-560)
どの分野でもサステイナブルが求められる昨今、中綿はそんな時代の要請に応える役割も担っているという。
「ダウンの代替品として生まれた中綿ですが、時代の変化とともに社会的な役割も変わってきています。ザ・ノース・フェイスでは、できるだけリサイクルダウンを採用していて、新しい天然ダウンを使わないように心がけていますが、天然の資源であることに変わりはありません。
一方、化繊の中綿はアニマルフリーだし、ペットボトルをリサイクルしているものもあり、“廃棄されてしまうものに付加価値を付けて新しい商品を生み出す”というサステイナブルな側面もあります」。
ザ・ノース・フェイスは20年前から三井物産が扱う化繊「プリマロフト」を採用している

 

“コスパ”で天秤にかける無意味さ


中綿は汎用性が高く、さまざまな用途やシーンに適応できるという点でファッションの幅を広げてきた。
「未だに『ダウンは天然素材だし、中綿よりいいよね』っていう声を聞くこともありますが、2つを比較することは正しくありません。ダウンにはダウンの魅力があって、中綿には中綿の強みがある。それを知ることが大切です」。
また、中綿はダウンより安いと思われがちだが、それも正確ではないという。中綿の値段は幅広く、中綿に機能を持たせるほど表地や裏地などに工夫が必要で、結果としてコストにも反映される。つまり、“コスパ”という概念で測ること自体がナンセンスなのである。
自分のライフスタイルに必要なのは、本当にダウンなのか――そんな目線で一度、ザ・ノース・フェイスの中綿ジャケットを見てみれば、また新しい世界が拓けるかもしれない。
「知ってホッとする冬服大全」とは……
知った気でいたけれど、実はそこまで知らなかった冬服のコト。そこで、各ブランドやショップへ取材を敢行。冬服知識の不足分を補うビタミン剤として活用してもらえたらこれ幸い。
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伊藤恵一=写真 菊地 亮=取材 ぎぎまき=文 


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