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2021.12.22

ライフ

周りから人がいなくなった。武田真治は孤独な日々を言葉と筋トレで支えた

当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事はこちら
美しい肉体とユニークな人柄で人気を博すタレントの武田真治さん(撮影:塚本 弦汰)
NHK「みんなで筋肉体操」出演以降、美しい肉体とユニークな人柄で人気を博すタレントの武田真治は、実はけっして順風満帆に芸能生活を送ってきたわけではない。
デビュー直後に一気にブレイク、その後の長い低迷。今振り返って思うのは、それは自分に必要な時間だったということだ。人生と仕事の浮き沈みについて話を聞いた。(敬称略)

売れて、天狗になった

俳優・武田真治について、どのようなイメージ持っているだろうか。1989年、「第2回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞。中性的で華奢な体型から「フェミ男」と呼ばれ、ドラマ『NIGHT HEAD』(94)や『南くんの恋人』(94)でブレイク。ナインティナインらと共演したバラエティー番組『めちゃ×2モテたいッ!』(95〜96/『めちゃ×2イケてるッ!』の前身番組)の出演で、その人気はピークを迎えた。
大量のCM契約が舞い込み、ソロコンサートツアーや主演舞台も大成功。都内のクラブはどこも顔パスだった。しかし現在の武田は振り返る。この頃から「自分は特別な存在だ」と思い始めてしまったと。
「完全に天狗になっていました。鼻も高かったし、本物の天狗みたいに羽も生えていたんじゃないかな(笑)。でも『イカロスの翼』じゃないですけれど、ずっと飛び続けられる羽ってないんですよね」。
ギリシャ神話に登場するイカロスは、ロウで作った翼が太陽の熱で溶けて墜落した。武田はそれに自分を重ねる。世間から求められるファッションリーダー像を演じるため、自分を精神的にも肉体的にも追い込んだ。当時の体重は48〜49kg。退廃的な美学に憧れ、周囲に心を閉ざし、他人の人生を心のどこかで否定する。人に対する尊敬や感謝の気持ちが薄れていった。
「周りから、人がいなくなりました」。
1998年、26歳の時に過労と栄養不足で顎(がく)関節症を発症。中学3年から吹き続けていたサックスも吹けなくなった。


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