今や完全に人気が定着した“黒い腕時計”。
ギラつかず、合わせる服を選ばない黒い腕時計から、出色の6本を紹介しよう。
■洗練されたモノトーン・ダイバーズ
高級時計のステンレススチールケースにブラックのPVDコーティングが採用され始めたのは1970年代前後からで、ホイヤー(現タグ・ホイヤー)は先駆的ブランドのひとつだ。
先頃、チャリティオークション「オンリーウォッチ 2021」で29万スイスフラン(約3550万円)で落札された「タグ・ホイヤー オンリーウォッチ カーボン モナコ」は、その歴史的背景へのオマージュから誕生した話題作だった。
2021年の新作から選んだ「アクアレーサー プロフェッショナル 300 ナイトダイバー 」は、いわゆるフルブラックのスタイリングとは趣が異なるところが面白い。
DLC加工を施したSSケース、ラバーストラップ、ブラックラッカーを塗布したブラックゴールドメッキのインデックスなどの黒で統一されたパーツと、スーパールミノバを全面に付けたホワイトダイヤルから生まれるコントラストは、手元のアクセントに打ってつけなのだ。
■黒いウブロが魅せる華やかさ
「インビジブル・ビジリティ(見えない可視性)」という革新的なコンセプトから2006年に「オールブラック」のコレクションを発表して以来、ウブロの黒い腕時計はブランドを象徴するアイコンのひとつとなっている。
いまやバリエーションは多岐にわたるが、その醍醐味はやはり複雑機構にある。「ビッグ・バン トゥールビヨン オートマティック ブラックマジック」を例に取ってみよう。
トゥールビヨンの開発に多くの情熱を捧げるウブロは、2021年に革新的な自動巻きトゥールビヨンキャリバー「MHUB6035」を発表。
この特殊な構造を持つムーブメントを搭載することで、このモデルはダイヤル側から12時位置のトゥールビヨンブリッジだけではなく、6時位置にある22Kホワイトゴールド製マイクロローターの動きを眺めることができる。これだけの複雑な設計の機構でありつつも約72時間のパワーリザーブを備えていることが実に頼もしい。
3つのケース素材があるが、モードな雰囲気が漂うブラックセラミックはファッションとの親和性がすこぶる高い。なかでもカジュアル志向のアイテムと合わせると良さそうだ。
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