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ゴードンミラーでは、アパレルも充実している(筆者撮影)
こうした小曽根氏の戦略が功を奏し、2020年度にはブランド全体の売上高が前年比の約3倍となった。要因について小曽根氏は、「ブランドの世界観が世間に浸透してきた」ことを挙げる。
とくに先述したジャーナルスタンダードファニチャーとのコラボは、効果絶大だったそうだ。「ジャーナルスタンダードさんが好きなファンの方にも認知していただいたことで、お客様の幅が広がった」という。
また小曽根氏は、2019年以降に「取り扱い商品数を急速に増やし、現在は約300アイテムを超えることも要因だ」と語る。とくにブランドのファン獲得には、「生活に根ざしているアパレルの力は大きい」という。そこで同社では、現在、アウトドア系アパレルブランドのグリップスワニーとのコラボ商品も開始し、さらなるブランド力の向上を図る。
ちなみに2021年5月には、住宅分野への進出も発表した。住宅エンターテインメントメディア「ドライブ(Dolive)」とコラボレーションし、ガレージハウスの新築規格住宅およびリノベーションパッケージの提供を開始するなど、さらに分野を広げている(2021年秋頃より販売予定)。

なぜ直営店を立ち上げたか

ゴードンミラーは、以上のように設立4年目にして一定の成果を上げてきた。では、今回の直営店設立には、どんな意味や目的があるのか。小曽根氏は、「ブランドの世界観をリアル店舗で表現するため」だという。
同ブランドでは、従来、公式ホームページなど、オンライン上ではブランドの全アイテムをみせるなどで、その世界観を表現してきた。だがリアルの世界でも、すべての商品を揃える店舗は、今後ブランドをさらに浸透させるためには必須だという。
そのため、直営店の場所も家賃が高く、投資リスクも大きいが、東京都内を選んだ。「蔵前駅周辺は、近年、リノベ物件なども増えて、感度が高い場所になっている」ことが、ブランド唯一の直営店を出す場所に選んだ理由だ。
小曽根氏は、さらに直営店を今後、オートバックス・グループ全体の接客力や販売力向上に役立てるノウハウ集積の場としても位置付ける。新店舗では、「カー用品やキャンピングカー、アパレルといった各分野を販売してきた販売員たちを集めている」という。
ただし、それぞれの実績だけを考慮せず、「カー用品を売ってきたスタッフにもアパレルを販売してもらうし、逆に今までアパレルが専門だった人にもクルマやカー用品を売ってもらう」という。


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