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看板娘、登場


ちなみに、プチプチは川上産業の創業者が1968年から製造・販売し、当時は「エア・バッグ」という商品名だったという。
「プチプチ」を商標登録したのは1994年。
研究所を立ち上げたきっかけは何ですか?
「昔、IDOという携帯電話に1通1円で送れるプチメールという機能がありまして、その販促として電車に中吊り広告を出されていたんです。ふと見ると、広告に当社の大粒のプチプチを貼り付けたものでした」
プチプチにはいろんな可能性があると気付いた杉山さんは、社長秘書の業務をこなしながら、非公式の研究所を設立して情報収集を始めたという。2001年のことだ。
これがその大粒プチプチ。
プチプチを文化と捉える研究は順調に進み、2006年にはオフィシャルブックまで出版してしまう。「プチプチをトラックで踏むとどうなるか」「動物も果たしてプチプチするのか」などの疑問を真面目に検証した本だ。
「縄文時代からさかのぼるプチプチの歴史」という読み物も。
「社内では研究所の認知度はほとんどなかったんですが、この本の出版を機に皆さん注目してくれるようになりました」。
そんな杉山さんを推薦してくれたのは、おもちゃクリエイターの高橋晋平さん。
ふたりの出会いは高橋さんがバンダイで働いていた時代。
「当時はボードゲーム担当でしたが、企画が通らなくて煮詰まっていました。そんなとき、社内に置いてあったプチプチのロールが目に入って、これは何かできるんじゃないかと思ったんです」。
椅子もプチプチ製でした。
高橋さんが考えたのは携帯のストラップになる「∞プチプチ®」。文字通り、無限にプチプチできるおもちゃだ。これが国内累計260万個を売り上げる大ヒット商品となった。
左が初代の「∞プチプチ®」。右が今年8月に発売した進化版の「∞プチプチ®AIR」で、こちらは本物の空気が入っている。
「プチプチがイケると思ったのはオフィシャルブックを読んだとき。『ついプチプチしたくなる行動は心理学的にはアフォーダンスと呼ばれていて』とか書いてあって、この人たちは本気なんだと」。
人は飛び出ているモノを見ると、つい押したくなるのだ。


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