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あらゆるバランスが取れるタンク

「自転車が趣味なので、GPSでログが録れるデジタル時計をほぼ毎日着けていたんです。でも、コロナ禍以降、仕事が忙しくなり趣味の時間が減ったら、それを着ける理由もなくなってしまって。
ずっと高機能な時計をしていた反動か、真逆のアクセサリー感覚で着けられる時計が欲しくなりました。それが自分のなかではカルティエの一択だったんです」。
すっきりとしたフォルムも、ゴールドの柔らかい色合いもツボだった。
「自分自身が年齢とともに枯れていくから、華やかなゴールドに惹かれるんでしょうね(笑)。ようやくこの年になってその魅力を実感しています」。

とはいえ、そこは昔から古着に親しんできた金子さん。この日のリーのオーバーオールに象徴されるように、今もワードローブの大半を占めるのは人によっては枯れて見えそうな古着。そのぶん、彼は着こなし全体の足し引きについては人一倍敏感だ。
「ボロボロの古着を着るときにはいい革靴を履こうとか、仕立ての良いシャツを着て引き締めようとか、いつもそんなことを考えていました。
でも、このタンクを買ってから古着と新品だとか、カジュアルと上品さだとか、そういうバランスが自分のなかでカチッとハマった感覚がありました。あぁ、自分に足りてなかったのは、これだったんだなって」。
 
品田健人=写真 今野 壘=取材・文


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