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2021.12.05

ライフ

五感を刺激する“おいしい時間”のプレゼント。4人の経験から読み取る正攻法

18名のギフト巧者に、実際に贈って感動された&贈られて感動したモノ・コトを伺う本企画。ジュエリー編に続き、ここでは“おいしい時間”がテーマだ。
五感を刺激する「食」は記憶に残りやすいのかもしれない。

記憶に残るギフト体験 〜おいしい時間編〜

五感を刺激する“食”を贈ろう!ギフト巧者に聞いた“おいしい時間”という贈り物体験
[男性]カーディガン9万3500円/へリル(にしのや 03-6434-0983)、ヴィンテージの腕時計30万5800円(江口洋品店・時計店 0422-27-2900)、Tシャツ1万1000円/サンスペル(サンスペル 表参道店 03-3406-7377) [女性]ポロシャツ3万6300円/エイトン(エイトン青山 03-6427-6335)、カットソー1万3750円/サンスペル(サンスペル 表参道店 03-3406-7377)

「ごらく」シェフ 八巻淳司さんの場合

修業時代にお世話になっていた、銀座の老舗イタリアンでの話です。一人前のシェフになるべく、ストイックに働き詰めた思い出深い場所なのですが、そこでの最終勤務日、オーナーシェフを含めた全スタッフがサプライズで僕のためだけにオリジナルのフルコースを振る舞ってくれました。
一日だけのスペシャルな店の、唯一のゲストとして、最高のおいしい時間をプロデュースしてくれたんです。
普段は厳しいシェフが、まさか自分のために、そんなことを企画してくれていたなんてつゆ知らず。気が付いたら年甲斐もなく感動して号泣。あとにも先にも、あれほど感動したギフト体験はなく、今の僕がシェフとして働けているのは、あの頃の記憶が色濃く残っているからです。
今でもたまに初心に帰る感覚で思い出してしまう、僕にとってのギフト、もとい記憶に残る食体験ですね。
[PROFILE]東京・代々木上原の有名ビストロ「メゾン サンカントサンク」を経て、現在は東京・東北沢にオープンした日本料理屋の「ごらく」を切り盛りする。
 

「ザ・バーン」 シェフ 米澤文雄さんの場合

友人からの依頼でスタイリスト大日方久美子さんのサプライズバースデーパーティの料理を担当させてもらうことに。呼ばれた場所は、キッチン付きの宿泊可能なゲストルーム。
「ごはんは適当に持ち寄りで」と友人同士で話されていたそうで、大日方さんが扉を開けて僕の存在に気付いたときは、驚きと満面の笑みが掛け合わさったなんとも言えない表情になっていらっしゃったことが印象的でした。
自分の生業である料理をすることであんなにも喜んでいただけるギフトになるなんて本当にシェフ冥利に尽きると、今でもその情景を思い出してはニヤリとしてしまいます。
[PROFILE]サステイナブルをテーマに掲げる東京・青山のグリル料理店「ザ・バーン」の料理長。『ヴィーガン・レシピ』(柴田書店刊)をはじめ2冊の著書を上梓。

雑誌「スプリング」編集長 丸山摩紗さんの場合

仲間うちで夜な夜な集まっていた20代後半の頃の話。友人が私の誕生日にサプライズで用意してくれたのは、まさかの餃子型ケーキでした。フェミニンでも気取ったものでもなく、まさかの餃子! しかも特大!
私にとっては、有名パティスリーのケーキよりもこちらのほうがずっと「おいしい時間」。そんな私の好みを理解して笑いに昇華してくれる友人の皆は、現在もクリエイティブの各分野で活躍中。今でも変わらず私の良き理解者でいてくれています。
[PROFILE]女性誌「スプリング」編集長。宝島社が刊行する雑誌媒体で初めて開設したYouTubeチャンネルも絶賛運営中。
 

「ビームスT」バイヤー 佐藤貴史さんの場合

東京・祐天寺にあるカジュアルイタリアン「アレーグラ」は、僕にとって特別な一軒。現在の妻と結婚する前の同棲時代から、結婚と出産を機に祐天寺を離れた今でも通い続けるこの店は、誕生日などの祝いごとで必ず訪れる場所です。
夫婦で切り盛りしている店主の雰囲気も良く、まるで家で食事をしているかのようなアットホーム感を味わえて、料理も本当においしい。
若い頃は、記念日は記念日らしく特別な場所で過ごしたり、贅沢をすることだったりに意識が向きがちでしたが、年齢とともに、日々の積み重ねが未来を創っていくことに気付きました。何げない日常をいかにして特別だと感じられるかを考えるようになったのです。
決してスペシャルではないカジュアルな食体験でも、僕ら家族にとっては、意味のあるおいしい時間ですし、大切なギフト。だから子供が大きくなっても通い続けたいし、子供にもそうしたかけがえのない瞬間を愛せるようになってほしいです。
[PROFILE]「ビームスT」でさまざまな企画やイベントを仕掛ける敏腕バイヤー。ストリートカルチャーに傾倒する一方で、良き父としての顔も持つ。
 
朝から晩まで異なるスペシャリテを堪能できる
HOTEL’S ホテルズ


東京・代々木上原の人気フレンチレストラン「sio」のオーナーシェフ、鳥羽周作氏が“架空のホテルのレストラン”をコンセプトに開業。ホテルのオールデイダイニングの定番料理を再構築し、朝はオープンサンドやオムレツ、ランチはハンバーガー、ディナーは薪火で焼いたステーキを軸とするコース料理1万4300円(サ別)を提供する。
住所:東京都港区北青山3-4-3 ののあおやま民活棟 2F
電話番号:03-6804-5699
営業:8:00〜10:00LO、11:00〜13:30LO、17:00〜20:30LO 不定休


 
谷田政史(CaNN)=写真 来田拓也=スタイリング 福川雅顕=ヘアメイク 大西陽子、礒村真介(100miler)、早渕智之、野村優歩=文


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