■オフロードまっしぐらから、CBRにひと目惚れ
「トヨタ・コロナクーペ2000GTを買って、日光サーキットの走行会とかに出ていました。でも、3カ月でタイヤが減っちゃうから、続かなかったなぁ……」。
その後、バイクにハマることはほとんどなく、30歳になったとき再びバイクのマイブームがやってくる。
「30歳のとき、近くにあるモトクロス場“オフロードヴィレッジ”で、カワサキのミニモトクロッサーKX80に乗ったことを機に、オフロードへ一気にハマりました。転んでも笑っていられるオフロードって楽しい! と思ったんです」。
そこからはオフロードバイクばかりを乗り継ぎ、現在もオフロードレースのシリーズ戦に出場するほどハマっている。
KX80に乗ってから、9台もの国産&海外オフロードバイクを乗り継ぎ、現在のオフロードレース時の愛車となっているハスクバーナ・FC450にたどりつく。
「オフロードは楽しいけど、公道走行のできないバイクで走っているので、たまにはバイク仲間とツーリングに行きたいな……と、ふと思ったんです。それで頭に浮かんだのが、見た目が格好良かったホンダのVFR800」。
VFR800は6400回転を境に、2バルブから4バルブに作動を切り替えるハイパーVテックエンジンを搭載するスポーツツアラー。
「当初はVFR800の程度のいい個体を探していましたが、友人から『ホンダ・CBR1100XXスーパーブラックバードもいいよね』と言われて現物をバイク屋へ見に行くと、『こっちのほうが格好良い!』とひと目惚れ」。
「164psを誇るフルパワーの逆輸入車で、季節に左右されないフューエルインジェクションモデル。キズもほとんどなくて、ツーリングに便利なリアキャリア付き。脚の短いボクでも足つきがいいバックステップもついているモデルが見つかって、即購入しました」。
実は橋本さん、今まで自動二輪免許は中型しか持っておらず、このスーパーブラックバードに乗るために最近、大型自動二輪免許を取得したばかり。
「今までは欲しいバイクが中型免許で済むバイクばかりだったけど、せっかく乗りたいバイクがあるのに免許のせいで乗れないんじゃ……ね? 大型を取るしかないでしょ(笑)」。
そして、初めて乗ったホンダ・CBX400Fにそうしたように、同じ系譜をたどるCBR1100XXスーパーブラックバードにもモリワキのマフラーをおごる。
「めちゃくちゃ程度のいいフルエキゾーストのチタン製が中古で売っていて、なんと10万円と激安! ルックスも太いサウンドも、超お気に入りです(笑)」。
51歳が子供のような笑顔で、日焼けした顔をくしゃくしゃにしてる。
「1台のバイクですべての願いは叶えられないから、やりたいことに応じてバイクを持っています。どれも大好きですが、今のところ、このスーパーブラックバードで早く友人とツーリングに行きたいですね!」。
1台のバイクだけを長く愛することは素晴らしい。だが、橋本さんのように“やりたい事”に合わせて複数のバイクを愛でるのもまた、ひとつのバイクの愛し方なのだ。
山中基嘉=写真 今坂純也=取材・文