かつて「砂漠のオールスロイス」と言われたレンジローバー。
その最新型はまるで宇宙船のようだ。
なだらかに下がるルーフライン、水平方向を強調したウエストライン、ナイフで切り落としたようにスパッと垂直な下側のテールゲート。
こうしたレンジローバー伝統のフォルムが、凹凸のほぼない、ツルンとした面で描かれている。余計ものが一切排除された、宇宙船のようなフューチャリスティックなスタイルなのだ。
三段ロケットの代わりに、新型レンジローバーには複数のパワートレインが用意されている。まずはデビューを記念した「ローンチエディション」に搭載される4.4L V8ターボ。
ほかにマイルドハイブリッドやプラグインハイブリッドシステム、さらに2024年には電気自動車バージョンも登場予定だという。
砂漠だろうが、そしてきっと宇宙空間だろうが、レンジローバーの顧客からは車内の快適性が求められるだろう。
新型レンジローバーは、電子制御エアサスペンションなどによって快適な乗り心地を提供してくれるのはもちろん、最新のアクティブノイズキャンセレーション技術が、まるでノイズキャンセリング機能付きのハイエンドヘッドホンのように、静かな車内空間を作り出す。
さらに新型では、パナソニックの「ナノイーX」技術を用いた「空気清浄システムプロ」なる装置によって、匂いやウイルスを大幅に低減し、車内の空気環境を整えるという。
もちろんアスファルトから岩場まで安心して走破できる走行性能が与えられているのは言うまでもない。ホテルのスイートルームで過ごすようにして、道なき道を進むことができる。
2022年には、よりラグジュアリーなモデル「レンジローバーSV」も登場する予定。顧客の好みに対し、最高級の素材をイギリスのクラフトマンシップで仕立てるというものだ。
また5人乗りのモデルのほかに、レンジローバーとしては初の3列シート7人乗りを可能にするロングホイールベースも用意されているのだが、SVではロングホイールベースをあえて4人乗りのラグジュアリー仕様にすることもできるという。
スタンダードホイールベースより広い空間に、電動で展開するテーブルや、シャンパンなどを冷やしておける冷蔵庫なども添えて。
日本ではまず、「ローンチエディション」が12月19日(日)までの期間限定で販売されており、先述のように今後はPHEVや電気自動車もやって来る予定。
今後進むであろう電動化の前にハイパワーなV8エンジンを楽しむか、ラグジュアリーな4人乗りで贅を尽くすか、道路を滑るように無音で駆け抜ける電気自動車を待つか、どの選択であっても“宇宙”レベルの快適性を味わえるのは間違いない。
籠島康弘=文