Q5. 手入れは難しくないのですか?
一般的にニットなどではウールはケアに気を使うアイテムという認識が強いが、カットソーの手入れに煩わしい手間は不要だ。
「アイスブレイカーのメリノウール製品はすべて家庭用洗濯機で洗え、洗剤は弱アルカリ性で界面活性剤を残さないようにすすぎはしっかり行うのがおすすめです。コットンに比べると生地が繊細なので、洗うときには引っ掛かりを防ぐためにネットを使うことを推奨します。
それと、乾燥機を使うと縮みが出てしまいやすいので避けてください。それだけ踏まえれば、面倒なケアもいらないので気楽ですよ」。
Q6.メリノウールを選ぶと、地球にいいことがあるって本当?
生物分解性の天然繊維であるメリノウールは有害なマイクロプラスチックの削減という点でも有益。さらに一度役目を終えた製品でも、もう一度再生繊維としてリサイクルできる。また、抗菌・防臭作用ゆえに洗濯の回数が少なく済み、水や洗剤の使用量を減らして環境負荷を抑えるという効果も。
「アイスブレイカーでは原料の調達も生産背景がしっかりと認識できる、契約している牧羊農家のみから行っています。近年では製品のリペアサービスも検討していて、一枚のウェアをより長く着続けられる環境を整えようとしています」。
Q7.アイスブレーカーのメリノウールはどこから仕入れてる?
1994年にニュージーランドで発祥したアイスブレイカーは、原料となるメリノウールも一貫して自国生産のものを採用している。適度な降水量と四季があるこの国の山岳地帯でメリノ羊は育てられ、春から秋にかけては急斜面に放牧されて自生するハーブを餌に暮らし、降雪する冬には標高の低い牧草地へ移される。
「そこでは羊たちが野生に近い形で育てられています。各農家では持続可能な牧羊を行っていて、羊たちのストレスになる毛の過剰な収穫を抑えているので、生産量には限りが生じてきてしまいますね」。
Q8.アイスブレーカーの製品はすべてがウールですか?
ラインナップの大半がメリノウール製のアイスブレイカー。暑いシーズン向けの「クールライト」シリーズなどでは、一部リヨセルやナイロンといった化学繊維も使われているが、それらも再生繊維を中心にまかなわれている。
「アイスブレイカーでは2023年までに完全プラスチックフリーを達成することを目標に、随時改善を続けている最中です。一部化繊が使われる薄手のカットソーなども100%ウールへと移行しており、確実にその実現に近づいています」。完全天然繊維での商品展開は、もうすぐそこだ。
清水健吾=写真 来田拓也、中北健太=スタイリング 礒村真介(100miler)、今野 壘、野村優歩=文