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ヒロシさんは、紆余曲折を経てキャンプブームの立役者となった。そして49歳となった今、今後の人生観はますますハッキリしてきた。

「好きなことしかしたくない」と語るヒロシさん。本気だ(撮影:尾形文繁)

「もうね、これからは好きなことしかしたくないんです。あんまり言うとあれだけど、仕事もセーブしたい。結局、いろいろやっても死ぬわけですし。去年あたりから、そんな思いが強くなってきました。そうは言っても別にネガティブな話でもないし、死はみんな平等に来るものなんだけど。だからこそ、どうせ死ぬんだったら、自分が好きなことをやって死にたい。自分の興味があることだけ、自分が全部納得したことだけ片っ端からやっていきたいです。本来そういう性格だし」。

しかし、キャンプブームに火をつけ、キャンプ企画では引く手あまた。YouTubeの動画再生数も伸び続け、絶好調の売れっ子にしか見えないのだが。

「本を出そうが、どんなにお金を稼いで有名になろうが、でもそれだけですよ。だんだん、一般的な成功というものに、まったく興味がなくなりました。そんなことより、自分のキャンプに行きたい。最近は仕事のキャンプばっかりだけど、プライベートのキャンプがしたいですね」。

自ら起こしたキャンプブームの影響は…

『あぁ…人がいる。僕がソロキャンプでいちばん注意していることは、誰もいないキャンプ場を探すこと。ひとりになりたくて来ているんだよね。「誰もいない!いい場所見つけた!」と思い、サイト運営した途端、人の気配を感じるとソワソワするんだよね。(2日)』

コロナ禍による三密回避ムードもあり、世間はヒロシさんの予想をはるかに超えるキャンプブームに。今ではみっしりテントが張られ、人が密集しているキャンプ場もあると聞く。

「個人的には、キャンプブームは、商売になっていいですよ。でも、僕、1人でキャンプしたいんです。知らない人がたくさんいるキャンプ場は苦手なんですよ。僕がキャンプを始めたときは、ブーム前だから全然人もいなかったんです。でも、最近は行く場所が限られてきましたね。今はかなりキャンプ場を厳選して行くようになったことが、きついですよね」。

結果として、ヒロシさんは自分専用の山を購入することに。

「キャンプ場に人が増えてるな……と感じるようになったのも山を購入した理由の1つです。もちろん同じ山にずっと行くと飽きるかもしれない。でも、最低1つは、人目を気にせず、安心して行ける場所がキープできるじゃないですか」。


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