ピンクのエイリアンが描かれた酒のボトル。コレ、今週発売する新作焼酎なんだけど、少し、いや、かなり変わりダネの酒なのだ。というのも……
宇宙旅行をしてきたという壮大なロマンに溢れた1本だから。
といっても、実際にこのボトルが宇宙に行ってわけではない。焼酎を造る際に使われている“酵母”と“麹菌”が宇宙空間を旅してきたのだ。
2011年5月16日に、フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられたスペースシャトル、エンデバー。実はこのとき、宇宙飛行士たちとともに酵母と麹菌も搭乗していた。
エンデバーは国際ステーションに滞在したのち、無事地球に帰還。偉大な冒険を成し遂げた「宇宙酵母」と「宇宙麹」を用いて、この焼酎が造られたのだ。
だけど考えてみると、酵母や麹菌って焼酎の原材料を発酵させるのに欠かせないもの。繊細な管理が必要そうなのに、宇宙に持っていって大丈夫なのだろうか?
販売元であるクランドの広報・遠山彩華さんに話を聞いてみた。
「品質上は、なんら問題ありません。もともと酒造りでは、原料にガンマ線を当てるなどさまざまな状況下に置くことで、原料に変化が起きるか研究されているんです。その実験の一環として、酵母や麹菌が宇宙に飛ばされました」。
実は以前にも、宇宙を旅した米と酵母で日本酒を醸造したことがあるという。
今回の焼酎は、そんな「エイリアンズ」シリーズの第2弾。鹿児島宇宙焼酎ミッションというプロジェクトの一環として、“宇宙に一番近い蔵”として知られる種子島の上妻醸造所の協力を得て造られている。
種子島といえば種子島宇宙センターがあり、芋焼酎でも有名な街。温暖な気候の中で育ったシロサツマを使用した芋焼酎は、口の中に広がる芋の甘みとコク、すっきりとした後味が魅力だ。
とはいえ宇宙に旅立ったと聞いて、気になるのはやっぱりその変化。宇宙空間に行くと味が変わるか? 未知すぎて、聞きたいことが止まらない……!
「宇宙空間に滞在させることで成分や味にどんな変化が起こるか、まだ科学的にはわかっていません。でもそれだけに、いろいろな可能性を秘めていると思います。実際にこの焼酎を飲んだ人からは、原料であるサツマイモの香りが一層引き出された味わいになっている、という声もあります。ただそれが宇宙と関係しているかはまだ研究段階です」と遠山さん。
宇宙を旅した麹や酵母が味にどんな影響を与えているか、体感できるのは飲んだ人だけ。まだ解明されていないことだらけ、というのもロマンがあっていいじゃないか。
この焼酎は、日本の酒を販売する「お酒のオンラインストア クランド」で、11月12日(金)より販売予定。
この焼酎を手にした人だけが楽しめる神秘的な味わい。ひと口飲んだ瞬間に未知との遭遇が待っているかもよ。
宇宙に思いを馳せながら、グビッと一杯やりたいものだ。
[問い合わせ]
お酒のオンラインストア クランド
050-3204-4776
https://kurand.jp/
齋藤久美子=文