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【3足目】ナイキ「エア シェイク インデストラクト」


落合さんが「これまでのNBAプレーヤーの中でもっとも好きな選手」と言ってはばからないのが、デニス・ロッドマン。3足目に選んだのは、ロッドマンが愛用していた「エア シェイク インデストラクト」だ。
ピアスにタトゥーといったド派手な見た目、素行の悪さや暴言などがクローズアップされがちだが、「プレーヤーとしては超一流」と落合さん。見た目とプレーのギャップも惹かれる理由だと話す。

「コートに入るとめちゃくちゃ体を張ってディフェンスし、泥臭いプレーも厭わない。誰もが嫌がるような地味な仕事を、素晴らしいクオリティで問題児の彼がやる。そのギャップがクールですし、心底リスペクトしています。
彼のニックネームで知られる“ワーム”を、ストリートボールで活動する際の僕のニックネームにしているのもその表れです」。

実は落合さん、23歳の時にデニス・ロッドマンと試合をし、マッチアップするという貴重な経験も。それもまた、彼を心酔するエピソードである。
「有明コロシアムでとあるストリートバスケのイベントが開催されたんです。デニス・ロッドマンが参加するということで、当日はお客さんも大勢つめかけていました。そこで、彼とストリートバスケをする幸運に恵まれたんです。最初は、めちゃくちゃビビってたんですよ(笑)。
やはりあの見た目と破天荒ぶりじゃないですか。でも、仲間から、『こんな機会なんてもう二度とないんだから仕掛けろ』とけしかけられて、後半、めちゃくちゃ激しくディフェンスをしたら、ロッドマンからおもいっきりハードファウルを受けました。もう審判が止めに入るぐらいの激しさで、ちょっと乱闘みたいな空気になりましたね」。

「でも、彼はそのときに僕を笑顔でハグしてくれました。僕のユニフォームは91番で、“worm”とも入っていたので、きっと『俺のファンだ』って彼も分かってくれていたと思います。
その後の記者会見でも、『あのときのファウルはエンターテイメントだ』と言ってましたし。それを見て、少しでも彼の中に印象として残ってくれたならうれしいですよね」。

「デニス・ロッドマンが履いていたこのモデルは、黒×白と、ホームカラーの白×赤を持っていて、大事なイベントのときに履いている」と落合さん。
ビジブルエアクッショニングが抜群の衝撃吸収と動きやすさを可能にし、非対称な編み構造の大胆なデザインも独特。そのうえ、特別なエピソード付きとなればベストな3足に名を連ねるのも納得だ。
「試合前にブルズのメンバーの入場曲だったアラン・パーソンズ・プロジェクトの『シリウス』を聞いて気持ちを奮い立たせています。
僕のスニーカーの師匠的な先輩からは『なんで年数を揃えないんだ』って怒られちゃいそうですけど、エピソードを読んでもらえれば許してくれるかな(笑)」。

今回選んでくれた、落合さん的「名作バッシュ3選」は、当時を知る者にとっては確かに心を熱くさせる。そして、NBAを席巻したトライアングルオフェンスのごとく隙がないのだ!
川西章紀=写真 菊地 亮=取材・文


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