先の東京2020パラリンピック競泳で金メダルを獲得した木村敬一さんにインタビュー!
2度目の出場となったロンドン2012パラリンピックから9年かけて、金メダル獲得という悲願を達成。今回はそんな木村さんのFUN-TIMEに関する話に加え、金メダルに対する想いなどを語ってもらった。
人と話をすることが何よりのFUN-TIME
「え、どうしようどうしよう……」試合前はどんな心境なのかたずねると、木村は冒頭のような言葉を口にした。
「イメージをすると緊張してしまうんです。でもまったくイメージしないことはできないので、最終的には『どうしようどうしよう……』って、なってしまい(笑)。今回の東京パラリンピックのときもそうでした」。
笑顔いっぱいの写真からもわかるとおり、今回の撮影で緊張や不安は皆無。天真爛漫で、生まれながらの愛されキャラクターは、自然と周囲を笑顔にする。さらに小気味良い会話のキャッチボールから頭の回転の速さが伝わる。
「ここまで笑ったのは、金メダルを獲ったとき以来かもしれません。あ、でもあのときと違って、今日は慣れない撮影ということもあり、少しだけ恥じらいがありましたが(笑)。
今日の衣装について僕はあまりよくわかっていませんでしたが、スタッフの皆さんが褒めてくださったので、すごく気分が良かったです。ディオールの服なんて普段は無縁のものなので新鮮でしたし、何より皆さんがあんまり褒めてくれるので欲しくなりました(笑)」。
白い歯を覗かせつつ、そう笑顔で答える。ただ普段の服装には別段こだわりはないという。
「『木村はこだわりがないから服をあげやすい』と友人に言われるほど、もらっています。ほぼもらい物だけで生きていると言っても過言ではないです。ただ家の中はもらい物で溢れているので、それを何とかしないといけないなと(笑)」。
そんな木村にとってのFUN-TIMEは、友達とのおしゃべり。
「こういったご時世でなかなか外出もできませんが、本来であればいろんな人と食事に出かけて、話をしたいです。ここ1年半くらいはちゃんと人に会えていないので、最近は人に電話をする機会が増えました。長いときだと何時間とか、そのくらい長電話をしてしまっています。『そんな長時間にわたって何を話すんだ』と言われますが、最近身の回りで起きたことなど、本当に些末なことばかりですけど……」。
とにかくたくさんの人と会って話がしたいという。
2018年春に、英語も話せず知り合いもいないという状況でありながら「これまでの自分を超えるため」に、単身アメリカに渡り、木村は積極的に現地の人とコミュニケーションをとっていた。
果敢に挑戦して失敗し、落ち込むこともあったが、それでも積極的なスタイルは変わらない。
「失敗しても『あ、これはネタになるな』と思っていましたし、いろいろな人と話をすることで、いろんな考えを吸収したいんです。もちろん、意思疎通ができずに落ち込むこともありました。ただ、アメリカにいるときは無双状態といいますか、どのシチュエーションにも『言葉の意味がわかりませんでした』という言い訳が準備されていたので、そういう意味ではチャレンジしやすかったのかなと思います」。
そしてコロナ禍が落ち着いたらやってみたいことがあるという。幼い頃から活発に外で動き回ることが好きだったことがうかがえる、いかにも彼らしい願望。
「キャンプやダイビング、カヌーなど、アウトドアなアクティビティをやってみたいです。
ソロキャンプも流行っていますが、初心者でひとりだと不安ですし、何より大勢でおしゃべりをしながらワイワイ楽しみたいです。友達の中にはキャンプ好きの人もいると思うので、今度連れて行ってもらおうと思います」。
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