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4. トイレと風呂はどうするの?

岡田夫妻はもともと“ミニマリスト”の実践者。ミニマリストとは「持たない」ことを信条に、最小限の物で生活する人のことを指すが、岡田夫妻も断捨離好きで多くを所有しないし、贅沢を求めない。
シャワーやお風呂も毎日は必要ないといい、2日に1度の頻度で漫画喫茶のシャワーを利用したり、銭湯に行ったりする程度だという。
梨紗子「トイレもコンビニに必ずありますし、道の駅にもあります。24時間使える公園もあるので、慣れれば問題ありませんが、車内にあればもちろん完璧です。ただそうなると排水や臭いの問題が発生するので、今のままでいいと思っています」。
ただ、ひとつだけ後悔もあるという。
大樹「本当は車内にシャワーを備えたかったんです。でも納車されて蓋を開けてみたら排水溝が付いてなかった。どうやらオプションだったみたいで(笑)。完全にリサーチ不足でしたね。これはひとつ、大きな失敗でした」。
キャンピングカーの購入を検討している人は、水回りを念入りに確認したほうが良さそうだ。
生活水は20Lのタンクが2つ。週に2~3回の給水で足りるが排水も課題だという。「バンライフは給水・排水が常に課題です。キャンプ場や給油したガソリンスタンド、RVパークでもできますが、常に給水・排水ができる場所を探していますね」(梨紗子さん)。

5. 毎日の食事、大変じゃない?

「道の駅」で購入する地元の野菜や果物を切って、混ぜて、そのまま食べる。ローフードスタイルだ。家事は「やれる人がやる」スタイル。元レスキュー隊の大樹さん、何でもちゃちゃっとこなしてくれるという。
梨紗子「私たちはもともとローフード(RAW FOOD)を実践しているので、加熱処理をしたものやお肉を食べることもありますが、基本は火を使いません。フレッシュなフルーツや野菜を中心に、豆腐やオートミール、ナッツなどでタンパク質や穀物を摂っています」。
加工食品はほとんど口にせず、肉も車内では食べない。ゴミも簡単に捨てられない故の臭い対策でもあるが、バンライフの食は2人にとって苦にならないという。
大樹「ミニマリズムもそうですが、ローフードもバンライフと相性がいいんです。特別、我慢をしているわけじゃありません。
とはいえ、2〜3日に1回は外食します。やよい軒とかCoCo壱とか(笑)。動画をダウンロードするのに高速インターネットが必要なときも、おしゃれなカフェに行きますし」。
自車の外でBBQをすることも。海辺で焚き火をしながら肉を焼くのも、バンライフなら、ちょっとした手間と時間で実現できる。訪れた先々で地元の名産にありつけるのも醍醐味のひとつ。

6. 夫婦喧嘩したらどうするの?

どんなに仲が良い夫婦でもぶつかることはある。「1DK風呂トイレなし」となれば、喧嘩も増えそう……。聞いてみると「めちゃめちゃ喧嘩しますよ」と包み隠さず答える2人。険悪なムードになったらどう対処しているのだろう。
梨紗子「私たちは性格が真逆なんです(笑)。私はのんびりするのが好きで、大雑把なO型。感覚派です。彼は典型的なA型で細かくて、理論派。すぐに片付けたい人だし、同じテンションが好きなタイプ。そんなふたりがずっと一緒にいると、喧嘩になりますよね。狭さも原因のひとつだと思います」。
こんな素敵な笑顔でいられないときは、それぞれが別々のベッドに移動してカーテンを閉める。それでも十分、ひとりの空間が持てるという。
大樹「リモートワークが続くとストレスも溜まります。そういう場合は車内に付いているカーテンを閉めて、空間を仕切る。距離を保つことでお互いのスペースを大切にしたり、ひとりで散歩したり、別々に過ごしたり。
ホテルにも3回泊まりました。空間が広いと開放感があるし、シャワーやお風呂も自由に入れると、気持ちがリセットされる。バンライフを続けるコツですね」。
喧嘩することを許容し、喧嘩したら対処する。制限のある空間で一緒に過ごすには工夫が必要だ。
大樹「キャンピングカーで生活するのは、ある種のサバイバルですから、いろいろありますが、絆は強くなりましたよ」。
太陽光発電ができない雨の日はカフェで仕事。一人の時間にもつながる。「周囲に人がいると、社会の中にいることを実感できるので貴重ですね」(大樹さん)。


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