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「ロングはおじさんが乗るもの」じゃない


ーJPSA(日本プロサーフィン連盟)ロングボード部門において、2017年・2018年ツアーの年間覇者となった浜瀬さんですが、成功の秘訣を一言で表すと?
難しい質問ですね。でもあえて言うなら「やりたいことだけ楽しむこと」じゃないかな。
ーでは、やりたくないことはやらない方がいいと。
あくまで理想です。現実問題、どのスポーツにもつらみや苦しみといったスパイスは絶対にあると思いますから。僕の場合は、ショートボードで味わった挫折でした。

ーそれはどういったものですか?
試合で勝てなかったんです。同世代のサーファーがチャンピオンを獲るなかで、僕は行けてもクオーターファイナルやセミファイナルまで。アマチュア大会で連戦連勝して高くなっていた僕の鼻は、プロになって簡単にへし折られました。
ースポーツ選手にとってはつらいですね。
そうですね。そんな時期にJPSAロングボードの試合を観る機会があって、そのときに「ロングボードでプロを目指してみたい」って思ったんです。

ーそれはどうしてですか?
僕は初め、ロングボードを遊びでやっていたんですが、クラシックなスタイルの海外ロングボーダーに密かに憧れてもいたんです。心機一転、この機会に流れを変えたかったのかもしれません。
ー経験があったとはいえ、よく転向に踏み切りましたね。周りの反応はどうでしたか?
賛否ありましたね。「ロングはおじさんになってから手を出せばいいんじゃない?」と言われたこともあります。悔しかったですね。
ーそんなことが。
「それなら、その意識から変えてやろう」と決意を固めました。昔から負けず嫌いなので(笑)。

ー結果、ロングボードへ転向後にルーキー・オブ・ザ・イヤー、そしてグランドチャンピオンを獲得されたわけですが、そのときの気持ちを教えてください。
最高でしたね。あの「やってやったぞ」という高揚感は忘れられません。ショートボードで試合に出ていたころとは、まったく違う自分になれた気がしました。

ー結果につながった要因はなんだと考えていますか?
ロングの試合では顔見知りがいなかったので、逆に思い切りよくできました。それがよかったのかもしれません。ショートボード時代は周りに同世代のサーファーがたくさんいたので、変に力が入っていましたね。

ー浜瀬さんが考える、ロングボードの魅力とはなんですか?
「運んでくれる」ことです。僕は流れに身を任せるだけ。試合に勝てなくて焦っていた僕を、ロングボードが変えてくれました。
ー視点を変えて、異なる世界に目を向けることも時には必要なのかもしれませんね。
はい。あきらめずに粘ることも大事かもしれないけど、他に「楽しい」とか「やれそう」と感じたことは、周りの目を気にせずにやってみること。それからいろいろな意見を聞いて、最後は自分で決断すること。それが道を切りひらくことにつながるかもしれません。


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