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長く付き合えること。それがいちばんのサステイナブルかもしれない

[上]16インチまでのノートPCと周辺の付属品を収納可能。L字に開閉するファスナーを採用し、取り出しやすくしまいやすいケースに仕上がっている。H29×W39×D2cm 1万3200円、[中]13インチまでのPCを収納できる小ぶりのケース。H26×W36×D2cm 1万2650円、[下]財布、筆記用具、手帳、名刺入れなどビジネス回りの小物をコンパクトにまとめることができるポーチ。H17×W24×D2cm 1万2100円/すべてニューライフプロジェクト(にしのや 03-6434-0983)
「我々はいち企業として、“三生(さんせい)”というビジネスビジョンを掲げています。共生、再生、誕生の3つです」(薩本さん)。
隣人やコミュニティ、自然や地球との「共生」は、具体的には社会問題や環境問題に対する取り組みへとつながる。技術や文化価値の「再生」は、職人の技術や背景、それに対する想いを表現したモノ作りの実践である。そして「誕生」は、異業種との協業による新しい価値の創造を表している。
とはいえ突き当たる問題も多々ある。例えば再生素材の原材料としてのペットボトルが、現在争奪戦の様相を呈していること。ペットボトルは取り扱い量の多い大企業へと流れ、小さな企業は素材の調達も困難に、という事態が起きている。
2つの荷室を持つポーチ。財布やスマートフォンなど身の回りの品を仕分けて収納できる。旅のオーガナイザーとしてもぜひ。H14×W25×D13cm 1万3200円/ニューライフプロジェクト(にしのや 03-6434-0983)
また分別・回収も難しい問題だ。使い古したバッグをどう処理するか戸惑ったことはないだろうか。
現状バッグの回収を行っている自治体はほとんど存在しない。燃やせるゴミとして出して可という場合もあれば、ゴミとして出すこと自体NGという場合も。個人としてはオークションサイトやフリマアプリに出品(これらも立派なリサイクルだが)というのが現実的なところかもしれない。
だがそんな問題にチャレンジし、“三生”というビジョンから生まれるモノやコトを発信しながら、NLPが最終的に達成したいと考えていることがある。それが「サーキュラーエコノミー」の確立だ。
’15年頃からEUを中心に広がっているビジネスモデルで、欧州の多くの政府や自治体が経済、社会、環境政策の軸として取り入れている。モノを作り、売る。そして売った時点で終了ではなく、そのモノが寿命を迎えれば回収し、再び原料に戻し、新たな製品を作り出していく経済活動だ。
「もちろん我々はバッグを作り始めたばかり。時間的にもシステム的にも商品回収という段階には正直いたっていません。それでも“今できること”はあるはず。
現在検討しているのは、ECサイトで購入したお客さまからポリエステル系の衣類を回収すること。これら回収した衣類を資源と捉え、新たな素材として蘇らせることができますから。
そのうえで、繰り返しになりますが日本の職人の技術の素晴らしさを、モノ作りを通じて伝えていきたい。伝えることで日本のモノ作りに興味を持つ人が増え、技術が継承され、評価を高めていくことができたらうれしいですね」(五藤さん)。
今後はボトルやカトラリーなど、さまざまな異業種と協業した製品も積極的に作っていきたいという。
カメラストラップも人気商品のひとつ。こちらのロープは8mm径。細身の5mm径タイプや手首に掛けるワンハンドタイプのストラップも用意されている。1万1000円/ニューライフプロジェクト(にしのや 03-6434-0983)
最後に、NLPのプロダクトに関する実感を記しておこうと思う。
ロープの長さの調節がスムーズかつ容易。驚くほどファスナーが引きやすい。軽量で持ち運びのストレスがない。そう、ずばり「使いやすくてタフなバッグ」であると、自信を持っておすすめしたいのである。
飽きることなく長く付き合えるという観点からも、実にサステイナブルなバッグというわけだ。
New Life Project ニューライフプロジェクト
創業年:2020年9月
本社所在地:東京都
オンラインストア:https://newlifeproject-shop.com
事業メンバー:3人
Sustainable Keywords
・日本国内の工場や職人の技術に対するリスペクト
・共生、再生、誕生の“三生”をビジネスビジョンに
・最終的な目標は「サーキュラーエコノミー」の確立
(※1)かせ染め
昔ながらの染色方法のひとつ。「かせ」と呼ばれる糸の束をそのまま染料に浸けて、絞る。その工程を繰り返すことで酸化還元により発色を促し、狙った色合いに染め上げていく。
 
鈴木泰之、川西章紀=写真 加瀬友重=編集・文


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