かねてより、「上質なものをさらりと着こなしてヌケ感を出す」あるいは「流行に流されず、適度に取り入れる柔軟さが大事」と、大人カジュアルの勘どころを各所で語っていた平山祐介さん。
「メンズもビッグサイズ化していくここ数年の潮流を鑑みて」と昨年、自身のワードローブを見直して、Tシャツやスウェット、パンツなどのベーシックなアイテムを大幅に入れ替えたという。
「モードな着こなしが好きな自分にとっては、トップスはジャストで、ボトムスはワイドというシルエットは、昔から実践していました。
が、最近は、トップスもゆったりしてきた。すると、上下でバランスを取るのが難しくなったんですよ。自分のような大男だとなおさら。この見直し作業が、結構楽しかった。
時代と自分をアジャストするような作業こそが、大人カジュアルには必要だなと思ったんです」。
さまざまな服に袖を通してきた平山さんだからこそ、些細なディテールには、人一倍目が届くのだろう。
「雑誌が“お洒落の近道はこの服”と謳っているものや、機械的に店舗で見かけるコーディネイトをそのまま買って着るのはラクかもしれないです。もちろん信じることもありますが、でもそれがわずかな自分の変化にマッチしているかはわからない。
大人だから、考えることができるからこそ、試行錯誤して、自分のスタイルを見つけるべきだと思うんです。
そうすると、ブランドに頼らなくてもいいものや、逆にこのブランドにしか出せない、という気づきもある。それを楽しめる柔軟性。これが大人カジュアルの要点だと思います」。
さらっと着れる上質カシミヤニットが長年ブレないお気に入り
イタリア産のカシミヤを使ったワッフルニットは、素肌でも着られるほどの滑らかな肌触り。
決して派手な色は使っていないが、豊かな表情を獲得したバスケット編みのメランジニット。ざっくりと編まれており、優しい温もりを堪能できる。
素材の柔らかさを味わえるよう、軽い編み地が多い中、あえてしっかりと編み骨太な顔立ちに。
モンゴル産ゴートカシミヤは柔らかさのみならず、耐久性も備え、末永く愛用できる。しかも襟のスリットなど、デザインも優秀、まさにエクストリーム。
西崎博哉(MOUSTACHE)、清水健吾、山本雄生、関 竜太、井手野下貴弘、松林寛太、大村聡志、志賀俊祐、品田健人=写真(人物) 川西章紀=写真(静物) 菊池陽之介、来田拓也=スタイリング 竹井 温(&’manegement)、kyoko=ヘアメイク 加瀬友重、髙村将司、オオサワ系、黒澤卓也、今野 壘、野村優歩、HIROMI YAMADA=文