ハーフタイツとインソールで快適ランを追求
ニューバランス以外に注目しているのが、米国生まれのブランド、ディストリクト ヴィジョンだ。
スポーツサングラスからスタートしたブランドだが、そこから派生したスタイリッシュなスポーツアパレルも展開している。
「しばらく前から、こういったハーフタイツが走るときの定番スタイルになっています。普通のショーツをはいていたときは、どうしても揺れが気になって、スマートフォンを入れる位置が定まりませんでした。かといって、ウエストベルトだと洗濯物がひとつ増えてしまう。
試行錯誤の末、この手のタイツの横に設けられたサイドポケットがいちばん揺れなかったんですよね。
ディストリクト ヴィジョンのタイツはニューヨークシティマラソンに参加したときに見つけたものですが、ポケットがかなり高めに配置されていて、それが自分にとってのベストポジションだったんです」。
もともと服が好き、ファッションが好き。だからこそ、ディストリクト ヴィジョンをはじめ、世界で盛り上がっているインディーズ系ランニングブランドのリサーチが、今、面白いのだそう。
最後にもうひとつ、見えない部分にもこだわりが。シューズの機能をアップデートさせる、インソールだ。
「とにかく膝が痛くなって走れなくなることがストレスなので、シューズも安定感重視で選んでいるとお話ししましたが、実はインソールもシューズの特性に合わせて入れ替えています」。
学生時代にアルペンスキーをしていた加藤さん。スキーでは、靴をその人の足に合わせて削ったり、カスタムインソールを入れるなどしてジャストフィットを追求するのは半ば当たり前。
その経験から、ランニングシューズでもインソールを入れ替えて、アーチサポートの恩恵を受けることは、加藤さんにとって、ごく自然なことなのだ。
「そのときのコンディションや靴との相性を考えて、もともと入っているインソールと入れ替えています。サポート性や衝撃吸収性が高まるので、ケガや故障のリスクが減り、疲労度にも違いが出ますね」。
どうしても履きたい、でも機能的には少し足りない……そんなシューズがあったとき、インソールを入れ替えるという手段を検討してみてはいかがだろう。
気持ち良く駆け抜けるためには、機能とデザイン、どっちも大事なのだから。
RUNNER’S FILE 43 氏名:加藤芳宏 年齢:40歳(1980年生まれ) 仕事:アートディレクター 走る頻度:週2日(1回につき、5~10kmほど) 記録:フルマラソン4時間14分47秒(ニューヨークシティマラソン 2018) |
連載「Running Up-Date」一覧へ「Running Up-Date」ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。
上に戻る 礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真