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年を取ったからこそ見えてくる感動も!?

江部 ラグジュアリーブランドの靴といえばさ、今グッチの「ホースビット ローファー」に改めて感動していて。
蒲池 改めてってことは、何かすごい理由があるんですよね。
江部 もちろん。モテるんだよ。
藤井 このご時世に、既婚者が何を言っているんですか……。
江部 編集長になったのを機に、いろいろな場面で革靴を履こうとしているのよ。で、気付いたのは「ホースビット ローファー」って若者が履くとチャラそうに見えるのに、おじさんにとってはあの華美なデザインが妙にマッチする。
品が良くて、ほのかにセクシーで。女性だけではなく、男性からも褒められるわけ。大人にこそ似合う靴だよね、あれは。
蒲池 前に見せてもらったパリジェンヌの生活をインタビュー&コラムで紹介する書籍『パリと生きる女たち』に出てくるマダムみたいに、ってことですか?普段着にエルメスの「バーキン」を持つみたいな。
江部 そうそう。若い娘より、マダムが持つほうが格好いい。あれと同じ現象がおじさんに起きるのよ。いわば靴ではなくアクセサリー感覚。こういう改めての感動もあるんだなって。
笹岡 やっぱりみんな、感動したアイテムについて話すとき、ベーシックやオーセンティック、定番という枕詞をつけることが多いですね。
江部 これはなぜか。年長者だからわかる。みんな年を取ったんだよ。
蒲池 そういうもんですかね。
江部 SNSで食べ物をアップする人っているでしょ。その傾向って2パターンあるんだよ。わかる?
笹岡 また食べ物ですか。
江部 わかりやすいだろ。ひとつは高級レストランの料理とか流行りのスイーツとか、いわゆるSNS映えする食べ物。もうひとつが、大人になってしみじみと良さを感じる、ツウな食べ物。崎陽軒のシウマイ弁当とか、赤福とか。昔から変わらないけれど、やっぱりいいよね、という共感。
三橋 確かに、どちらかですね。
江部 それと同じでさ、いい大人になったからこそ、改めて感動する服ってたくさんある。それがちゃんとわかるようになってきたってことだと思うよ。でもベーシックだけに固執すると、どうしても時代遅れになってしまう。俺は最近、トラッドをどうストリートに、またはセクシーに着こなすかを考えて、お洒落を楽しんでいるよ。
藤井 つまり、定番アイテムのアップグレードが感動につながるのと同じように、ベーシックなスタイルにも常に変化が必要、ってわけですね。食べ物つながりでいえば、なだ万の社是「老舗はいつも新しい」というフレーズがしっくりきますか。
江部 藤井がうまくまとめてくれたね。三橋、こんなんでどう?
三橋 いや〜もう、感動でお腹いっぱいです。そして図らずも、編集部はみんな揃って結局のところオーセンティックな服が好きなんだという共通項もわかりましたね。
オーシャンズ 編集長
江部寿貴 Age44
少年時代に服に目覚める。アヴァンギャルドな服よりも、ベーシックを愛する。嗜好は雑食ながら、最近は「トラッドをどうストリートに、またはセクシーに着こなすか」がお洒落のテーマ。
オーシャンズ デスク
笹岡裕太 Age33
若い頃からスケートボードシーン、音楽、映画といったカルチャーに傾倒。ほかには見向きもしない編集部随一の頑固者。入社して早10年になるが、服の好みは一向に変わらないという。
オーシャンズ デスク
蒲池琢磨 Age38
春から秋はキャンプ、冬は雪山と、一年中フィールド遊びに余念がないアラフォーは、機能性に特化したウェアを好む。一方でデスクの上は機能的ではないのが編集部の悩み。
オーシャンズ デスク
三橋真央 Age40
オーシャンズ歴1年。ハイブランド、ホテル&リゾート、レストランと守備範囲は広く、嗜好だけはアッパー層。流行りものについつい手を出しがちでスタイルに一貫性がないのが弱点。
オーシャンズ デスク
藤井健人 Age33
時計専門誌から移籍し、入社以降ファッションの知識をグングンと吸収中。服選びには着心地を重視する一方で、ブランドの歴史や背景に惚れ込むと酔心しやすい傾向がある。
 
清水健吾=写真 梶 雄太、来田拓也、星 光彦、野上翔太=スタイリング 増山直樹、早渕智之、長谷川茂雄、いくら直幸、髙村将司、大西陽子、森上 洋、中田 潤、今野 壘、オオサワ系、大木武康=文 竹田嘉文、平沼久幸=イラスト


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