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見た目はシンプル。でも気分の上がる仕掛けが欲しい

笹岡 三橋さんは、前職(某ライバル誌編集部)の頃からラグジュアリーブランドの動向をチェックしていたと思いますが、どういうものに感動します?
三橋 自分が着ることを想像すると、コレクションルックよりも、流行に左右されないものに目が向きがちかな。
ボッテガ・ヴェネタがベーシックなワードローブを提案する新ラインで出していたナイロンブルゾンは特に良かった。肩回りやボディはゆとりがあるのに着丈はやや短く設定されていて、その場にいた誰が着てもなぜかシルエットが絶妙にキマる。
もちろんエレガントな雰囲気も感じられて、普通のブルゾンとは大違い。こういう一歩先のベーシックって理想的だなって。
蒲池 ルイ・ヴィトンの「ルイ・ヴィトン ステープルズ エディション」も同じだよね。自由に着られる感じがいい。
藤井 ファッションをアートクリエイションと捉えるのか、デイリーウェアと位置付けるのか。それによっても違ってきますよね。
江部 日常着と定義するのであれば、本来は何でもいいはずだけれど、それだと洋服好きは満たされない。ブランドの哲学やアイテムの仕様・着心地、または文化的背景などで不思議と心が動く、そんなものを着たいじゃない。
笹岡 ドリス ヴァン ノッテンのベーシックなニットとか……。
江部 そうそう、そんな感じ。ジルサンダーやメゾン マルジェラも、モードとライフウェアのバランス感が絶妙。シンプルな見た目はキープしながら、ロゴや4本のステッチという唯一無二の特別な仕掛けを加えて、着る人の気分をアゲてくれる。その匙加減が上手なんだよ。
三橋 僕が愛用しているトム フォードの靴(6)も似たような感覚かもしれないです。
(6)「トムフォード」のブーツ。ミッドカットのスエードモカシンにラグジュアリーブランドらしい上質感をプラス。/私物
江部 へー、意外なチョイスだね。
三橋 オーシャンズ世代なら誰もがクラークスの「ワラビー」や「デザートブーツ」を一度は通ってきたはず。絶対に廃れない名作ですから、おとなしく履いていればいいんですけどね。みんなと同じは嫌だという天邪鬼精神が働いてしまいまして。
そんな折に出会ったのがトムフォードのスエードモカシン。似たようなアイテムなんですが、僕にとっては履くだけで気分が上がる稀有な一足なんです。


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