普遍的な“傑作”のアップグレードで感動が生まれる
笹岡 あとはベタですがディッキーズの「874」(
7)。これは昔からずっと。
江部 へ〜そうなんだ。なんで?
笹岡 ベルギーのスケーター、アクセル・クライスバースのスタイルからですね。はきこんでない、バリッと糊の利いた「874」にヴァンズの「オールドスクール」。最高に格好いいっス。ちょっと癖は強いですが、シンプルにチノパン代わりにはくと、すごくいい。
蒲池 スケートカルチャー、好きね〜。
笹岡 はい、好きですよ。だからラストリゾート エービーのTシャツ(
8)もシビれましたね。
藤井 スケートボードもメダルラッシュだったから、注目されますかね。
蒲池 あり得るかもね。でもよくよく考えると、オーシャンズ世代がヴァンズを履くって、すごいことじゃないですか?
ヨコ乗り文化を知らない人からすると安価なスニーカーなのに、みんなストーリーのあるファッションアイテムとしてちゃんと認知していて。
藤井 実は僕も知らなかったんですよ。でも編集部に入って背景を知ってから格好いいって思うようになりましたね。でもって
「コンフィクッシュ」は最高です。軽いし、楽だし。
三橋 eVent搭載の「オーセンティック」もね。雨が心配なときでも安心できるうえに、いつものコーディネイトを崩さなくていいって感動ものじゃない?
江部 どちらも大事なのは“ヴァンズの「オーセンティック」”というまさにマスターピースと言えるモデルを進化させているところだよな。改良の余地のないデザインだからこそ、機能性の改善がより活きたと。
蒲池 展示会で絶賛していた、ヒステリックグラマーのモッズコート(
9)も同じような感覚なんですか?
江部 そうなんだよ。モッズコートって最近いろんなブランドが出しているけれど、なかなかピンと来なくて。でもヒステリックグラマーのものは、ヴィンテージ感の再現度が抜群で、思わず頷いてしまった。ライナーにリアルファーを加えて贅沢かつ、大人でも着られるようにアレンジしているのがいい。
あと同じ理屈でもうひとつ。ジョン ロブの「ウィリアム」と「シティーⅡ」(
10)の新作も、永久定番モデルの佇まいを変えずに軽量ソールで機能的にしたのが白眉なわけ。そうそう、まるで“文明堂の「希翔」”なんだよな。
笹岡 なんスか、急に。
江部 あれ?知らない?限定生産の高級カステラ。文明堂のカステラって誰もが知る名品中の名品。それをワンランク上に仕上げているのよ。知っていると、お持たせとして重宝するよ。あ、そうそう、お持たせといえばさ……。
三橋 いや、服の話をしましょう。
江部 ……わかったよ。で、似たような方向の感動でもうひとつ、ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのデニム「サンダース」(
11)も挙げたい。
笹岡 僕が大好きなあのパンツがデザインソースと噂の……?
江部 そうそう。あれをデニムで表現するという発想からしてセンスの良さを感じる。しかもシルエットはオーセンティックなのに、ストリートなニュアンスではけるというのも至極新鮮。細身デニムしかはいてこなかった俺にとっては革新的だったなぁ。
ーー話が尽きない様子の編集部員たち。後編ではアクティブウェアについて盛り上がります! | オーシャンズ 編集長 江部寿貴 Age44 少年時代に服に目覚める。アヴァンギャルドな服よりも、ベーシックを愛する。嗜好は雑食ながら、最近は「トラッドをどうストリートに、またはセクシーに着こなすか」がお洒落のテーマ。 |
| オーシャンズ デスク 笹岡裕太 Age33 若い頃からスケートボードシーン、音楽、映画といったカルチャーに傾倒。ほかには見向きもしない編集部随一の頑固者。入社して早10年になるが、服の好みは一向に変わらないという。 |
| オーシャンズ デスク 蒲池琢磨 Age38 春から秋はキャンプ、冬は雪山と、一年中フィールド遊びに余念がないアラフォーは、機能性に特化したウェアを好む。一方でデスクの上は機能的ではないのが編集部の悩み。 |
| オーシャンズ デスク 三橋真央 Age40 オーシャンズ歴1年。ハイブランド、ホテル&リゾート、レストランと守備範囲は広く、嗜好だけはアッパー層。流行りものについつい手を出しがちでスタイルに一貫性がないのが弱点。 |
| オーシャンズ デスク 藤井健人 Age33 時計専門誌から移籍し、入社以降ファッションの知識をグングンと吸収中。服選びには着心地を重視する一方で、ブランドの歴史や背景に惚れ込むと酔心しやすい傾向がある。 |
清水健吾=写真 梶 雄太、来田拓也、星 光彦、野上翔太=スタイリング 増山直樹、早渕智之、長谷川茂雄、いくら直幸、髙村将司、大西陽子、森上 洋、中田 潤、今野 壘、オオサワ系、大木武康=文 竹田嘉文、平沼久幸=イラスト