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オーシャンズ 編集長
江部寿貴 Age44
少年時代に服に目覚める。アヴァンギャルドな服よりも、ベーシックを愛する。嗜好は雑食ながら、最近は「トラッドをどうストリートに、またはセクシーに着こなすか」がお洒落のテーマ。
16歳の夏、身分不相応にもこれを手に入れた。ミッドカットでビブラムソール、スエードアッパーのものだった。当時、つるんでいた“オシャレな仲間”が得意げに履いてきたことに影響されたのだ。
校則でがんじがらめだった中学生のときに指定された貧相なローファーとは何もかもが違いキラキラして見えて、 これこそが本物のオシャレでオトナの逸品であり、そして直感的にモテる靴だと信じた。
16歳少年がこれを履いた顛末はさておき、四半世紀の時間がいたずらに経過した2019年、僕が編集長になった記念にと某人が「ホースビット ローファー」をプレゼントしてくれた。
16歳の頃よりは身の丈に合うようになったとは思うけれど、ファッションに対する気持ちや楽しさといった「初心」を思い出させてくれる大きなきっかけとなった。極めて私的だが、グッチの「ホースビット ローファー」が特別な靴である理由だ。“服好きの仲間”が神保さんの同級生だったという不思議な巡り合わせがあったことも記しておこう。
数年後、自分の長男は僕が初めて「ホースビット ローファー」を履いた年齢になる。ちょっと気取って友達と繁華街へ出かけたり女の子とデートしたりするとき用に一足プレゼントしようかな。ずいぶんと贅沢だけれどね。
 
清水健吾=写真 梶 雄太、来田拓也、星 光彦、野上翔太=スタイリング 増山直樹、早渕智之、長谷川茂雄、いくら直幸、髙村将司、大西陽子、森上 洋、中田 潤、今野 壘、オオサワ系、大木武康=文


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