OCEANS

SHARE

31歳の江原さんは地元・延岡の出身。子供の頃から農業に関わる仕事に就きたいと考え、東京農業大学を卒業後は都内の農業系ベンチャー企業に就職した。
ビルの屋上を利用した都市型菜園の運営でビジネスと実践的な農業両方の経験を積み、退社後は個人事業主としてさまざまな農業プロジェクトに携わった。
放置竹林を意識するきっかけとなったのは2019年はじめ。30歳を機に地元へUターンしたときのことだ。
延岡メンマの生みの親の江原太郎さん(写真提供:LOCAL BAMBOO株式会社)
「実家が持っている山を見に行ったら、幼い頃に見た風景がガラリと変わっていて驚きました。木々は枯れているのに竹だけが恐ろしいくらいに生い繁っているせいでかつては通れた山道が通れなくなり、田畑が荒れ果てて使えなくなっていたんです。放置竹林の問題を自分事として初めて実感し、法人を立ち上げました」。
最初に対策として試みたのはタケノコを収穫し、都市部の飲食店へ卸すことだった。しかし、いざ実行してみると実家の山を1人で管理し、鮮度を保ったまま出荷するのは思いの外大変だった。

国産メンマを選んだ理由

そんな中、出会ったのが国産メンマだ。シーズン限定でしか扱えないタケノコと違い、メンマなら年間を通して生産ができる。調べてみると、放置竹林対策の一環として全国各地でメンマ作りが行われており、福岡の糸島市にあるタケマンという業者が国産メンマ作りを全国に広げるプロジェクトを行っているという情報をキャッチした。
「さっそく作り方を聞こうと思ってタケマンさんに電話してみたら、ちょうどその翌週に延岡市の隣町でメンマ作りの講習会を開くとのことで、今から思っても運命的なタイミングでした」。
以降、江原さんは延岡市から福岡の糸島市まで車で約5時間近くかけて何度も通い詰め、メンマ作りのコツを覚えていく。当初はメンマの原料が竹であることすらよく理解していなかったものの、数カ月後には1人で作れるようになっていた。


3/3

次の記事を読み込んでいます。