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FUN登山の一歩は安全から始まる

山は楽しい。と同時にむき出しの自然であるから、きわめて厳しい一面も持っている。安全な登山のために何が必要なのか。アウトドアガイド宝利誠政さんとの一問一答。
アウトドアガイド 宝利誠政さん
群馬県みなかみ町にてさまざまなアウトドアプランを提案する、「ワンドロップ」の代表取締役。登山はもちろんカヌーからスキーまであらゆる外遊びに精通。ガイド歴18年の大ベテランだ。www.onedrop-outdoor.com
──そもそも登る山はどう決めるんですか?
自分の体力、筋力がどの程度のものか把握する必要があります。まずは日帰りで2〜3時間程度の行程の、登山道の整備された山を経験してみては。
僕がよくガイドする谷川岳は急峻な山として知られていますが、ロープウェイとリフトで一気に登る初心者でも歩きやすいコースもあるんですよ。
──でもひとりで行くのはちょっと……。
そんなときこそガイドに頼ってください。経験に合わせたルートを提案できますし、装備や道具の相談にも乗ります。
登山の基本的ルールやマナーはもちろん、その時季の見どころを熟知していますから、山歩きがよりFUNになるはずです。
──早速、今日から身体を鍛えます!
ワークアウトは安全な登山のために有効だと思いますが、特別なことをする必要はないんですよ。積極的に階段を使ったり、ひと駅手前で降りて歩いたり。リュックに2〜3Lくらいの水を入れて負荷をかけるのもいい。歩くことが基本ですからね。
──コロナ禍で山のマナーにどんな変化が?
ほかの登山者とすれ違うときは大きな声を出さないようにするといった配慮がマナーに。また有人の山小屋は、ほぼすべて事前予約が必要になりました。テント場もそう。
実はこれが、コロナ禍の登山でいちばん大きく変わったことかもしれません。
──「山は早出早立ちが基本」の理由は? 山小屋泊なら遅く着いてもいいじゃないですか。
まず認識しておくべきは日没は必ず訪れるということ。当然ですが山に街灯はないので、夜は基本的に行動できないと考えてください。
また特に今の時季は、朝晴れていても午後から天候が急変する可能性があります。積乱雲が発達して夕立がきたり、雷が発生したり。できるだけ早く山から下りて、早くビールを飲んでください(笑)。
──そのほか気を付けたいマナーやルールは?
ゴミは絶対に捨てないこと。また排泄は簡易トイレを携行するのが原則です。他の登山者とのすれ違いにも注意を。片側が崖になっているような狭い道で我先にと強引に進むのはNG。声を掛け合い、お互いに安全を確認しながら進んでください。
あとは心ゆくまで山を味わうこと。それがFUN登山のいちばんのマナーかもしれませんね。
 
柏田テツヲ=写真 石黒亮一、平 健一=スタイリング 加瀬友重=編集・文


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