キャンプにゴルフにヴァンライフ……。さまざまあるなか、外遊びの達人たちが次に注目しているアクティビティがずばり登山である。
というのも、オーシャンズが関わる関係者たちの間で「山にハマる人」が続出しているから。例えばフォトグラファーやモデル、デザイナーといった人たち。つまりはリアルな話からくる実感なのである。
さてそんな我々の気分をもしや知っていたのでは?と思ってしまうようなエルメスのブーツが登場した。クラシックな登山靴から着想を得た新作「デニヴレ」(フランス語で標高の意味)である。
アッパーはきめ細かな起毛が美しいヴェロア素材。足首を包み込むパッド部分にはラムレザーを、内側にはムートンを採用する。つまりは極上の素材を吟味し尽くした登山靴(もちろん街用だが)というわけだ。
ディテール&デザインも完璧な仕上がり。武骨なシューレースと、それを通すDリングやフックの完成度の高さ。白のヒールカウンター、イニシャルの「H」が細かく刻印されたオレンジのミッドソール、そしてダークブラウンのアウトソールという色使いも実に秀麗だと思う。
スポーティなリブパンツやデニムにはもちろん、ドレッシーなウールパンツに合わせてもいい雰囲気が出そう。この秋ぜひ試してほしいブーツなのである。
ところで人はなぜ山に惹かれるのか。殺伐とした都会を離れたいから?オープンエアで遊べるから?
いろいろ考えを巡らせてみたのだが、いちばんの理由は2021年の今このときにも、山という場所にいまだ「冒険の薫り」が残っているからではないだろうか。舗装されていない道を、空に向かって登り続ける。その非日常の空気に我々はワクワクするのだ。
もちろんお洒落の冒険も然り。より高度を上げた難ルートにおいても、きっとこのブーツが頼れる相棒となってくれるはずだ。
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 加瀬友重=文