機械式の原点であり、機能も最小限に絞る「手巻きのドレスウォッチ」。その潔さに機能美と男のダンディズムが薫り立つ。
なかでも注目の一本は、どれだ?
王道の新たな扉を開く次世代のニュースタンダード
PATEK PHILIPP
パテック フィリップ/カラトラバ 6119
機械式の原初である手巻き式は、パテック フィリップにとってもすべての根幹といえるだろう。その次世代を示唆する新開発ムーブメントは、従来と変わらぬ厚みの香箱をふたつ並列。歩度の安定性と約65時間の持続時間を実現し、さらなる拡張性を秘めている。
記念すべき初搭載には、1930年代のカラトラバ誕生初期からの伝統的なクルー・ド・パリで装飾したモデルを選んだ。スモールセコンドのバランスも美しく、王道の気品が漂う。
伝統を継承し、時代を超えるドイツ高級時計の象徴
A. LANGE & SÖHNE
A.ランゲ&ゾーネ/サクソニア
1990年に復活を遂げたA.ランゲ&ゾーネの初代コレクションのひとつとして誕生し、創業の地から名付けられたモデル名のとおり、ブランドの礎としてあり続ける。
シンプルなバーインデックスを特徴に、高い視認性と優美を併せ持つドイツ高級時計の洗練が薫る。さらに4分の3プレートやチラネジテンプ、手彫り装飾を施したテンプ受けなど様式美あるムーブメントは独自の哲学を雄弁に語るのだ。
35mm径という現行では稀少なサイズも愛着が増すだろう。
刻み続ける時と同様、手巻き式も進化を止めない
OMEGA
オメガ/デ・ヴィル トレゾア スモールセコンド
1949年に伝説の30mmキャリバーを搭載したことから、“宝物”を意味するモデル名「トレゾア」が与えられた。そのレガシーと理念を受け継ぎ、手巻きムーブメントでは初めて最新のマスタークロノメーター規格を認定取得する。
高精度や高耐磁性など現代の実用性を満たし、機能美は進化を続ける。
現代的なフェイスの裏には愛好家もうなるディテールが
F.P.JOURNE
F.P. ジュルヌ/クロノメーター・ブルー
クラシカルな手巻きドレスでもオリジナリティの高いモダンデザインを採用し、ムーブメントはふたつの香箱による56時間の持続時間に加え、脱進機には精度調整ウェイトを備え精度を安定させる。
地板や受けにはK18ローズゴールドを用い、時計を愛でる楽しみも味わえるのだ。
自然界の美の定理に従いムーブメントを復刻
MONTBLANC
モンブラン/モンブラン ヘリテイジ ピタゴール スモールセコンド リミテッドエディション148
1940年代に登場した「ミネルバ ピタゴール」の復刻版。ムーブメントの造形は、自然物で見られる美しい比率で、建築や美術の分野でも用いられる黄金比の原理を応用した。
全体に統一感をもたらすブラウンカラーもクラシックな雰囲気を加速させる。
※本文中における素材の略称:SS=ステンレススチール、K18=18金、PG=ピンクゴールド、WG=ホワイトゴールド
柴田 充=文