「好かれる」のではなく、「好きになる」
真のニーズを見つけるためには、相手のことを思いやる、「好きになる」ことが重要です。
部下のことを好きになれば、相手の立場を思いやることにつながり、観察していても気づきが多くなり、真のニーズに到達しやすくなります。つまり、「好かれる」の前に、上司自身が部下のことを「好きになる」ことが大切なのです。
そうして真のニーズに合ったことを行っていれば、やがて上司の行動が実際に実を結んでいき、自分にとって良いことが起こることが分かった部下は「この上司は本当に自分のためを思って行動をしてくれている」と自然と思うでしょう。
部下が幸せになればそれでいい
そうなれば、結果として、部下から「好かれる」かもしれません。いや、上司としては、部下に役立つことができて、彼らが成長し、成果をあげて、幸せになるのであれば、それでよいではありませんか。
現在は課長になれるのは3割という時代です。そういう時代に部下を持つ管理職になることができ、人材を育てるという神聖な仕事を担うことができただけで、幸せなキャリアではないかと思うのです。
上司、管理職という仕事は悩みやストレスの多い仕事ですが、辛い部分を嘆くのではなく、人を育てるというやりがいある仕事を得ているのだということをもう一度自覚してみてください。
上司業を全うすることで、結局、自分の幸福もやってくるのではないでしょうか。
連載「20代から好かれる上司・嫌われる上司」一覧へ「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……組織と人事の専門家である曽和利光さんが、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ。好評だった
「職場の20代がわからない」の続編となる今回は、20代の等身大の意識を重視しつつ、職場で求められる成果を出させるために何が大切か、「好かれる上司=成果がでる上司」のマネジメントの極意をお伝えいたします。
上に戻る 曽和利光=文 株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長 1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。 |
石井あかね=イラスト