ジョグではなるべく不整地の上を走る理由とは
それにしても気になるのは、それなりに走り込んでいたであろう梅田さんが30半ばにして自身のランを具体的にどうアップデートさせたかだ。
「陸上界では“乗り込み”と表現されますが、それがすべてかもしれません。どのように地面に接地して、どのように反発のリターンを得るか、いわゆるフォームに関する意識ですよね。
コーチングするようになってから、人に伝えたことを、自分に対してもよりフィードバックできるようになったのかもしれません。『自分でできる』と『人に伝える』のとはまた別なので、その両方がリンクしてくると面白いんですよ」。
走るときはフォームの感覚を大事にしたいので、音楽などは聴かない。
「最近は朝走ることが多いですね。休日でも午前中にはトレーニングを終わらせます。トライアスロンのトレーニングは3種目をすべてこなさなくてはならないので、スイムをしたあとに走るとか、バイク練のあとに走るとか、つなぎのトレーニングとして1時間から1時間半ほど走ることが多いですね」。
夏の炎天下では長時間走ることが難しいので、ピリッと短時間で終えられるインターバル的なトレーニングを多めに行う。
「ジョグペースで走るときは未舗装路の方が好きで、今日のような公園であればなるべく土や芝生の上を走ります。真っ平らなアスファルトの上を走るのに比べて、重心の位置を上手く扱わないとスムーズにスピードに乗れないからです。未舗装路で走る方が、ランニングのスキルも上がると思います」。
プレーヤーからコーチへ、ランニングと向き合う視点を変えたことで、その奥深さや自分に対する気付きを得たというのが何とも興味深い。マンネリを感じているランナーの皆さん、たまには「走ること」をいつもと違った視点から捉えてみてはどうだろうか?
RUNNER’S FILE 42 氏名:梅田祐輝 年齢:36歳(1985年生まれ) 仕事:トライアスロン プレイングコーチ 走る頻度:週5回、(1回につき1~1.5時間ほど) 記録: 5000m 14分51秒 |
連載「Running Up-Date」一覧へ「Running Up-Date」ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。
上に戻る 礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真