スケルトンの高級時計が増加中。そこに使われている素材の多くはサファイアクリスタルだ。
これまでは風防や裏蓋で見かけるくらいの素材だったが、近年では時計全部をスケルトン化するために採用されることも増えている。
その魅力を、2021年もスケルトン時計を豊富に出しているウブロの新作とともに探っていこう。
ブレスまでサファイアにした偉業
2016年、「ビック・バン ウニコ サファイア」を発表して以来、サファイアクリスタルはウブロにとって特別な素材として扱われている。
ウブロが“サファイアウォッチにおける究極の答え”として発表したのが、話題作「ビッグ・バン インテグラル トゥールビヨン フルサファイア」だ。
そもそもの話になるが、サファイアクリスタルはモース硬度10のダイヤモンドに次ぐ硬度9。よって、傷がつきにくい反面、加工が難しい。
つまり、ケースの形成を作り出すだけでも困難を極めるわけだが、それをブレスレットでも実現させたウブロの加工技術は驚きでしかないのだ。
完成まで5年もの歳月を費やしたというのも十分頷ける。
透明化へのこだわりは、ケースやブレスレットだけにとどまらず、新開発のトゥールビヨンキャリバーにまで及んでいる。
ブリッジとメインプレートのサファイア化による効果は、まるでムーブメントが浮遊しているかのような錯覚をもたらす。ブレスレットから透けて見えるチタニウム製のリンクも然りである。
ウブロの終わりなき挑戦は、サファイアクリスタル製ウォッチに新たな価値を与えることに成功し、またひとつ常識を覆したのである。
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