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屋内から海までシームレスにつなぐウェア


おふたりとも、バギーズ姿が実に様になっているが、ただ、若い頃からずっと慣れ親しんできたわけではないとか。野澤さんが手に取ったのも、実は30代に入ってからである。
「海にはいていく“海パン”がなくて手に取ったのが最初でしたね。前職時、仲良くさせてもらっていた先輩が夏になるとよくはいていて。
僕はサーフィンもしませんし、サーフブランドへの関心も低かったので、そういえばあれは水着としても使えるんだったよな〜と思い出して、購入に至りました」。

「そうなの?」と柴崎さんも似たような経緯であることを明かす。
「僕も20歳の頃、沖縄を旅行して、現地で軽めのショーツが欲しいな〜と思ってとある古着屋に入ったのがきっかけですね。
以後、バギーズは買っていませんでした。頻繁にはくようになったのは、それこそ7〜8年ぐらい前ですから、ちょうど野澤くんと同じぐらいだと思います」。
黒は、アクティビティ用に野澤さんが最初に購入したバギーズ。以降、パープルをはじめカラフルなアイテムを追加している。
「奇遇ですね」と笑いながら野澤さんは、そのあまりの万能っぷりに今ではもう虜だという。
「3年前ぐらいに家族でハワイ旅行へ行ったんですね。バギーズのショーツとテアトラのパンツの2本を持って行きましたけど、それで一週間過ごせちゃったんですよ。
バギーズは濡れてもすぐ乾くし、海でも街でも両方いける。水陸両用ですけど、街にすっと溶け込んでいる感じがめちゃくちゃいいなって」。
柴崎さんは定番の水色やパープルに加え、程良くくすんだイエローやブルーも。その絶妙な色合いが「パタゴニアらしい」。
「それ、わかるわ〜」と柴崎さん。
「コロナ前は海外へよく出張に行っていましたけど、もう最強です(笑)。何がいいかって、例えばシャワー後にそのまま買い物へもいけちゃうし、帰ってきてそのまま部屋飲みしてもいい。
僕は結構そういう使い方で感動していました。それがすこぶる快適だったんですよね。海と街だけじゃないく屋内もシームレスにつなぐウェアはそうそうないと思います」。
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あらゆる世代に受け入れられるバギーズの凄さ


柴崎さんがバギーズに興味を持ち出したのは、写真家リロイ・グラニスの影響が大きいのだとか。
「彼が1960~1970年代に撮影した、カリフォルニアやハワイのボードショーツの写真集がすごく好きで。それから、ボードショーツに興味を持ち出したんですよね。その延長にバギーズがありました」。

「パッと見てパタゴニアと分かるそのカラートーンにだいぶやられましたね。カリフォルニアの雰囲気がすごく感じられる。
しかも、シーズンごとにちょっとずつアップデートはされていますけど、ほぼベースは変わらない。もう完成された美しいひとつのプロダクトだと思いますね」。

「たしかに」と同意する野澤さんは、店頭に立っているからこそ感じる凄さを語る。
「今では、年齢の高い人はもちろん、若い人が手に取っているのも印象的ですね。カップルで来て、おそらく男の子の買い物に付き合ったのでしょうけど、女の子のほうが『この色かわいいね』と言って買っていったりもする。
アウトドア好きっぽい人も買っていきますし、ライトにオシャレを楽しんでます、みたいな子も買っていく。掛け値なしにフラットな目線で見て手に取ってもらえるというのはブランドやアイテムの底力ですよね」。
柴崎さんは、「パタゴニアは早いうちから自然環境に留意した活動やモノ作りを行っている。そのブランドのポリシーやマインドにも惹かれますよね」と、サステイナブルな企業努力にも敬意を払っているようだ。
国内外のあらゆるカルチャーに目を向けながらさまざまなアイテムを取り扱ってきたビームス。だからこそ、彼らの言葉には重みがあった。
「愛しのパタゴニア バギーズ・ショーツ」とは……
夏の大本命にして大定番、パタゴニアのバギーズ・ショーツ。誕生から約40年、その輝きは右肩上がりに増すばかりだが、往年のバギーズ・ラバーズはどう着こなしているのか。洒落た大人たちの模範解答をどうぞ。
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恩田拓治=写真 菊地 亮=取材・文

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