ようやく暑さは落ち着いてきたが、地球の温暖化はとどまることを知らず、人間も動物も植物も、クレイジーな天候に翻弄されている。
そんな状況から自分たちを、いや、地球全体をも快適にしてくれるかもしれないスーパープラント「ヘンプ(HEMP)」にフォーカスしたい。
これからの時代、正しく理解しておきたい「ヘンプ」のコト
最近何かと明るい話題が聞こえるようになってきたヘンプ。
ファッションとしての結びつきも強く、オーシャンズ世代の中にはヘンプの服に馴染みのある人も少なくないだろう。しかし、世間にはヘンプと聞いて抵抗を感じる人がいるのも事実だ。
ヘンプが正しく理解されない最大の理由は、ヘンプを日本語で言えば“大麻”だから。
その呼称によってヘンプを訝しげに思う人がいるのだが、ひと言に大麻といっても、ダークなアレだけが大麻ではないことを説明しておきたい。
まず知っていただきたいのは、大麻には大きく2種類あるというコト。
ひとつはいわゆる“マリファナ”と呼ばれる精神活性作用のある薬用型大麻。もうひとつは“ヘンプ”と呼ばれる、精神活性作用や陶酔作用がなく、衣料や健康食品として利用されている繊維型大麻だ。
しかし、日本の法律にはその分類が示されておらず、“大麻”という言葉でひと括りになっているから「大麻=マリファナ=薬物」のような認識が広がっているのだ。
究極のサステイナブル素材であり、植物繊維特有の機能も!
しかし、最近ではCBDオイルやスーパーフードとして認知されているヘンプシードが有名になった影響で、若い層を中心に、ヘンプに対する正しい知識を持つ人が増加中。日本でも着実に盛り上がってきている。
というのも、ヘンプは実は高機能な天然素材。
繊維の中心がストロー状の空洞で、繊維表面に無数の小さな孔がある多孔構造。肌の湿気や汗を吸い上げて熱とともに空気中に発散してくれるため、吸水速乾性があり、なおかつ防臭抗菌効果も発揮してくれる。
それに加えて、コットンの3倍の強度を持ち、独特のしなやかなシャリ感があり、主に春夏の生地として適している。
ちなみに日本の衣料業界では“麻”と表示されるのはリネンとラミーのみで、ヘンプは「指定外繊維(ヘンプ)」もしくは「指定外繊維(大麻)」と表示される。清涼感のある麻の服は夏の定番となっているが、それらヘンプは別の特性があることを書き加えたい。
また、石油原料をもととする化学繊維はもちろん、大量の水や肥料、広大な土地を必要とするコットンと比べても環境負荷が圧倒的に少なく、地域を問わずに栽培ができるのは大きなメリット。
育てることでむしろ土壌環境を改善する効果も見込める、スーパープラントなのである。
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