──ドラッグのイメージを払拭するために、どのような事柄に気をつけていますか。「外国人のラッパーが“weed”(大麻、マリファナ)を吸ってハイになっている」といった典型的なイメージを避けるよう努めています。イメージビジュアルもインスタグラムなどで戦略的に行っています。
企業名は出せないですが、有名な高級ブティックアパレル関係のビジュアルディレクターが、最近私たちの
インスタグラムアカウントを手伝ってくれています。
そもそも、CBD製品を摂取してもハイにはなりません。ハイになるのは、大麻草の中にあるTHCという成分によるもので、CBDはそうしたいわゆるweedとはまったく違うものです。
──経営を拡大していくフェーズで、大変なことはありましたか。学ぶことがたくさんありましたし、犠牲もトラブルもありました。一番のトラブルは警察とのやりとりでした。
CBDについて何も知らない警察が突然店にやってきて、我々をドラッグディーラーだと思い、すべてのものを没収していきました。我々に損失を被らせることが目的のように、関係のないステッカーでさえ没収していきました。
とても恐ろしい事だと思います。没収された損失額もありましたし、弁護士にも多くの費用を費やさねばなりませんでした。それに伴うストレスもありました。その対応はフェアではないですよね。警察はサンプルを押収して確認することだってできたはずですから。
──ただ、このカフェは交番の目と鼻の先にあるのが印象的です。確かにそうですね。年々CBDに対する理解は深まっているようで、今では駅前の警察官もお客さんとしてCBDの製品を買いに来てくれます。
CBDというものがまだ未知のものだったときに没収されたので「必要な犠牲」だったのかもしれません。5年後10年後にはもう少し環境が整ってくると思います。
コロナ禍にオープンしたカフェ 地元客の意外な反応
──今日取材しているこのカフェ付きの店舗は、去年パンデミックの最中にオープンしたんですよね? カフェをオープンしたことで気づきはありましたか。カフェをオープンしたのは、フードを適切に提供し、「お客さんの日常にCBDを取り入れる方法」を教えるという目的がありました。
ロックダウン中は店の経営に集中して、フォカッチャのような自家製のペイストリー(パンやケーキなどの菓子類)を販売し始めました。
結果として、日々の生活のアドバイスを求めて店に訪れ、いろんな人に様々なことを聞かれるなかで、たくさんのことを学びました。特に驚きだったのは、私の祖父母の年代の人もたくさん訪れてくれたことです。
──これから実現したいことは?今はオンラインより実店舗にフォーカスしています。お金をかけて検索エンジンでトップになるよりも先にやることがあるかもしれません。それはCBDにあるイメージを転換させていくことにもつながるからです。
オンラインも充実させ、海外のユーザーにもアプローチしていきたいです。例えば、いまは、EU内のCBDが合法の国でのみマーケットを展開しています。他の国へ進出するには法律なども知らないといけないので、弁護士も必要になります。
マーケットができたばかりなので、需要と可能性に溢れるいわゆるブルーオーシャンで難しさは感じていませんが、市場価値がある程度見え、値段が高くなっていったとしても、経験値の蓄積がある分、結果は自ずとついてくると考えています。
冨手公嘉=文 小鉄裕子=写真
記事提供=Forbes JAPAN