夏だから、暑いから、腕時計は着けない?そういう人はそれで良し。今回は、夏でも、暑くても、ほかにアクセサリーは着けなくとも、腕時計だけは欠かしたくない。そんな人専用のお話。
さて、時計好きと話をする際に、男のワードローブに備えておきたい名品として、ジャガー・ルクルト「レベルソ」は、よく俎上に載せられる。
アール・デコ調の端正な佇まいで、手持ちのラウンドウォッチとは趣を異にし、ラインナップにも変化を与えてくれる。もちろん、ドレスからカジュアルまでその守備範囲は広い。
それもそのはず、ポロ競技に端を発した、時計の時刻表示を裏返せる仕様からもわかるとおり、スポーティな由来さえあるのだ。
さて、ここに従来のレザーストラップだけではなく、キャンバスストラップが加わったらどうだろう。
クラシカルな服でもよく指摘されるとおり、ファッションを楽しむならば、大事にしたいのが、季節感の演出。これが、クラシカルな時計とともに楽しめるのだ。
このストラップを作るのが、2011年からジャガー・ルクルトと協業しているカーサ・ファリアーノ。ポロブーツに長けることでも知られるブエノス・アイレスの老舗が、夏用ポロブーツに着想を得て、キャンバスをカーフレザーに張り合わせた新作ストラップを製作。
シャープな顔立ちに、キャンバスの柔和な雰囲気はマッチ。涼やかな雰囲気を醸し出してくれる。写真のようなストライプシャツの袖をまくり上げてグルカショーツにイン、腕元にはコイツをさらりと着けこなせば、相当に洒落ていると思わないだろうか。
もちろん、飾り気のないTシャツ&デニムにこれ一本でも十分に成立する。
1930年代から基本的に変わらないデザインコードでいつも存在してくれる名作だけに、購入時期を様子見している人には、今回のキャンバスストラップの登場が、レベルソ入手の後押しにもなるやも。
こういう楽しみがあるから、夏の時計はやめられないのである。
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 髙村将司=文