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カーデザインの完成形

これまでにエンジンは3回、トランスミッションは2回載せ替えたという。

「昔は、だいたい関西のヤナセに入れていました。ヤナセの修理は『壊れたから直す』のではなく、『壊れないために直す』なんですよ」。

だから100万kmを超えても東京と大阪を往復できるほど、ビートルは元気。

この日の旅のお供は「むーさん」。これまで何度か保護犬を引き取ることがあり、現在3〜4匹飼っているそう。


ヒロセガイさんがビートルを初めて知ったのは小学生の頃。たまたま先生のひとりが通勤で使っていたそうだ。

「当時、ドイツっぽい、ミリタリー系のものが好きだったんです」とちょっとませた小学生だったらしい。ヒトラーがポルシェ博士に作らせたとか、そういう時代背景を知るほどに好きになり、中学生になる頃にはもう買うと決めていたそうだ。


もちろん車自体が好きなので、ほかにもカッコいいなと思う車もあったという。「けれど車のデザインとしてはビートルが完成形なんです」。
ドライブ中はもっぱらスマホの音楽をブルートゥーススピーカーに繋げて聴いている。


「もしも小さい頃に読んだSFマンガのように、タイヤがなく空中都市に飛んでいく、なんてくらい車が進化したら、ビートルが完成形とは言えないですよ。

けれど電気自動車になろうが、自動運転化されようが、タイヤのある車としては、特にエンジンやモーターを後ろに積んで後輪を動かす車としてはビートルが完成形、最終形だと思っています」。

1974年式は3点式のシートベルトがないそう。後席に見えるのは父親が拾ってきたシカの頭部の骨。兵庫の実家近くの山にはよくシカがいて、骨もたまに見つかるのだとか。


また、アーティストとして活動するうえでもビートルは理想的だとも。

「タイプII(ワーゲンバス)だと、作品を載せても単に荷物として運ぶ車になってしまう。シトロエンの2CVやルノーのキャトルもいいけれど、ビートルのほうがルーフの上にいろんな荷物を載せられる。いろんなことを考えると、これしかなかったんです」。



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