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2021.07.20

映画で大きな存在感を放つ「小さな名車」を、今の実勢価格とともにレビュー

映画『007』の“ボンドカー”を筆頭に、車も、映画やドラマの重要な一役となる。
派手なカーチェイスを演じるイメージのないコンパクトカーも、そのスタイルや醸し出す雰囲気で、ときとして主役級の印象を残す存在に。
ドライバーに愛され、銀幕でも愛された小さな車たちを紹介しよう。
 

■『グラン・ブルー』のチンクエ

フィアット500

starring:フィアット 500(チンクエチェント)
映画『グラン・ブルー』で主人公ジャック・マイヨールのライバル、エンゾ・モリナーリを演じたジャン・レノ。
身長188cmと言われる彼が弟のロベルトを乗せ、窮屈そうに体を押し込んで運転していたボロボロの車は、フィアットの500だ。
敗戦後のイタリアで、ヴェスパなどのスクーターからこぞって人々が乗り換えたのがこの車。戦前にも「500」という名の車があったため、「ヌオーバ・チンクエチェント(NUOVA 500)」と呼ばれる。
簡素な空冷2気筒エンジンをリアに積み、後輪を駆動させるRR方式を採用。3mを切る全長にも関わらず、4人乗れる。ルーフにキャンバストップが設けられたのは、風を感じるためだけでなく、エンジン音がうるさいと感じたら、屋根を開けて走ると気にならなくなるという理由もある。

そんなバタバタバタッと乾いたエンジン音をまき散らしながら海までガシガシ走っていたエンゾの姿は、彼のキャラクターを上手く表現していた。
もとの色が分からないほど塗装が剥げ落ち、錆が浮きまくり、そこら中が凹んでいたエンゾの500。ドアだけは別の車から取ったらしく赤いのだが、かえってボロさを強調していた。
まとまったお金が入ったエンゾは、ボディのへこみや傷を修理せず、赤いペンキを塗り悦に入る。ドアとボディの赤色が微妙に異なる500の中から満面の笑みを浮かべるその姿は、大雑把で陽気な彼らしい。
1957年から1977年まで生産されたが、今でも中古車市場でたまに出ることがある。価格は200万円以上と人気は高いが、アニメ『ルパン三世』でも大役を演じた名優なのだから、むしろ安いかも!?
 

■『ミニミニ大作戦』の“クラシックミニ”

ミニ
starring:ミニ
1956年のスエズ動乱をきっかけにオイルショックに陥ったイギリス国民を救ったのが、天才技術者イシゴニスが開発したミニだ。現在のBMW製と区別するため、今では「クラシックミニ」と呼ばれることも。
1959年に同国の自動車メーカー・BMCから販売されるとあっという間に大ヒット。エリザベス2世やビートルズ、ツイッギー、ブリジット・バルドー等々、数多のセレブにも愛された。
そんな有名人ならぬ有名車を映画界が放っておくはずもなく、1969年の『The Italian Job』ではイタリア警察のアルファ ロメオとカーチェイスを演じた。
銀幕上であまりにもミニの存在感が大きかったせいか、邦題名は原題とは大きく異なり『ミニミニ大作戦』に。なお同映画は2003年にハリウッドでもBMW製ミニを使ってリメイクもされている。

ほかにもイギリスのコメディドラマ『Mr.ビーン』ではビーンが毎日乗り回してさまざまなトラブルを起こしたり、日本でも漫画『シティーハンター』の冴羽獠が相棒に選んだことで有名だ。
日本には’80年代から正規輸入され、やがて日本がミニの最大マーケットと言われるほどに。親会社がBMCからローバーに変わってからも日本でのミニ人気は高く、生産終了直前の1997年にはポール・スミスとのコラボレーションモデルも販売された。
それゆえ今でも中古車の台数が比較的多く、中古車サイトを見ても約15万円から狙える。


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