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若手はミドルにこそ説明責任を求めている

それなのに、その中核であるミドルたちが「トップは経営の説明責任を果たしていない」と言っていては、現場の若手たちに呆れられてしまうかもしれません。
トップは大きな方針を示して組織の一体感の源となっていただき、最終的な責任を取ってもらえればそれでよい。ミドルにこそ、大きな方針の具体的な戦略・戦術への落とし込みが期待されているのです。
トップの考えを具体的な行動へと翻訳して、現場に浸透させつつ、現場の意見や不満を汲み上げてトップの方針を修正していくといった、トップダウンとボトムアップを同時に行いつつ、組織全体を共鳴させるのがミドルの役割なのです。

自分の意志を入れないのであればミドルなどいらない

そういうミドルアップダウンを行わないミドル≒中間管理職は組織にとって不要です。トップと現場の間に生じるズレを埋めて解消することこそが役割なのに、それをしないのであれば、ただの伝言係に過ぎません。
また、トップの方針が曖昧だからこそミドルが「自分の意志」をそこに入れることができるのに、それをしないというのはなんともったいないことでしょうか。
ミドルはよくトップと現場の「板挟み」にあって大変な立場だと言われますし、確かにミドルアップダウンは負荷のかかる仕事です。しかし、考えようによっては、自分たちが会社を動かしている中核であり、自由に考え、自由に動いてよいわけです。
頭の中に自らを囲う檻を作るのではなく、自分たちは自由なのだと認識し、大胆に組織を動かす勇気と覚悟を是非持ってください。20代も自ら考えるミドルに期待しているのですから。
連載「20代から好かれる上司・嫌われる上司」一覧へ
「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……
組織と人事の専門家である曽和利光さんが、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ。好評だった「職場の20代がわからない」の続編となる今回は、20代の等身大の意識を重視しつつ、職場で求められる成果を出させるために何が大切か、「好かれる上司=成果がでる上司」のマネジメントの極意をお伝えいたします。
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組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス
『組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス』(ソシム)
曽和利光=文
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
 
石井あかね=イラスト


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