トップダウンでもボトムアップでもなく、ミドルアップダウン
そのような組織のあり方を経営学の世界で、野中郁次郎先生は「ミドルアップダウン」と表現されていました。
トップダウンは機動力やスピード感という点で優れているものの、トップの指示がなければ組織は止まる。一方ボトムアップは、現場に権限委譲するためモチベーションの維持や現場感覚の吸い上げはしやすいのですが、組織としてバラバラになったり、スピード感に劣ったりする恐れがあります。
これらの問題を解消する方法がミドルアップダウンというわけです。ちなみに野中先生によれば、超トップダウンに見えた故スティーブ・ジョブズが率いたAppleも、実はチームをベースに、チームとチームを連動させて組織をつくっていたそうで、このミドルアップダウンというスタイルは日本だけでなく普遍的な組織の良いあり方なのかもしれません。
日本の組織の中核はミドル
ともあれ、日本の組織の中核は今も昔もミドルなのです。現在もコロナ禍の中、会社の経営が混沌としているところも多いことでしょう。
トップから出される方針も、明治維新で言えば「攘夷」ぐらいの曖昧さで、「まずは社員の雇用維持」とか「今はじっと耐える時期」とかかもしれません。
しかし、トップからの方針など、これぐらいで十分であり、むしろ細かいところまで言わずに曖昧な大きな方針のみ定めて、あとは中核であるミドルにその力を発揮してもらうほうがいいのではないでしょうか。
ミドルはトップの掲げる方針(理想)がどこまで現場(現実)と近いのか、それとも乖離しているのかを見極め、実効性の高い策を用いて実行をしていく役割なのですから。
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