昨年グランドセイコーは誕生60周年を迎えた。この記念すべきアニバーサリーを飾ったトピックスが新しいキャリバー9SA5の登場だ。
グランドセイコーの自動巻きとしては22年ぶりのフルモデルチェンジである。
この間、時計の技術は進み、各社から多くの最新鋭ムーブメントが登場した。だがこれに対し、決して手をこまねいていたわけではない。むしろ技術革新を精査し、グランドセイコーの機械式は今後どうあるべきかを見極めていたといえるだろう。
というのもグランドセイコーが超えるのは他者ではなく、常にグランドセイコー自身だからだ。
1960年の誕生時には、国産では初めてスイスのクロノメーター規格に準拠した独自のグランドセイコー規格を定め、これを課した。さらに’98年には、これを超える精度を目指した新グランドセイコー規格を制定し、新たな指針とした。
グランドセイコーにとってそれは進化であると同時に、さらなる深化だったのだ。
こうした連綿と続く技術の系譜に加わった9SA5は、毎時3万6000振動のハイビートによって精度を安定させ、さらにパワーリザーブも従来のハイビートムーブメントの55時間から80時間へと延ばした。
これを実現するため、ふたつの香箱と高効率のデュアルインパルス脱進機を搭載。高い精度や実用性を実現するとともに、独自の水平輪列構造で薄型化している。
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