最高のシートと音響には、シャンパンも必要だ
しかも後席の間にはシャンパンボトル3本が入る冷蔵庫と、専用グラス2つが入る収納を用意。センターのカップホルダーは温度調節機能付きだ。
またすべてのシートに「リラクゼーション機能」が標準装備されており、バックレストに備わった10カ所の押圧ポイントが疲れた体をほぐしてくれ、シートヒーターと組み合わせればさながら温圧マッサージのよう。
後席の手元にある7インチタブレットを操作すればすぐに音楽が室内に流れるし、目の前のモニターに映画を映し出すこともできる。
なにしろ、車内はGLSより遮音性の高い窓ガラスを採用するなどもともと十分静かなのに、さらに静粛性が高められていて、音響効果も計算されている。世界最高峰のオーディオメーカー、ブルメスターの3Dサラウンドシステムを備えた、理想的なオーディオ空間でもあるのだ。
つまり、道中の風景に飽きたら、寝そべりながらシャンパンを飲み、マッサージを受けながら好きな音楽や映画に没頭するのが、この車の大前提。座席だけじゃなく過ごし方までファーストクラスである。
そんな乗員のくつろぎの時間を損なわないように、V8ツインターボエンジン+小型モーターはGLS580よりもパワーがあるものの、AMG GLS 63ほど過激ではない程度に抑制されている。
走行中は前方の路面状況をスキャンし、それに応じて足回り特性を瞬時に変えていくので、乗り心地は常にフラット。高速道路からワインディング、そしてSUVならではの雪道や泥濘地、砂丘まで、あらゆる道を快適に、何事もなかったかのように乗員を目的地まで運んでくれるのだ。
車両本体価格は2729万円。国際線のファーストクラスに10〜20回程乗るのと同程度で、至極の時間を毎日得られる。と考えたら……夢があると思うのだ。
籠島康弘=文