かつて時計の傷はデメリットでしかなかったが、デニムやレザーの経年変化がファッションとして受け入れられると、時計界にもこの概念が浸透。特に最近では、緑青が浮かび上がるブロンズケースに人気が集まっていた。
そんななか今年は、異なる素材で経年変化を楽しめるふたつのモデルが登場。
まずモンブランが採用したのは、K18ライムゴールド。金75%に、銀と鉄を割り金した素材は、使い込むほどに淡い黄みがかったグリーンに変化するという。
一方のチューダーは、シルバー925製ケース。一般的にシルバーは黒ずみが生じ、経年変化を楽しみづらいとされているが、独自配合によりマットな質感を獲得。さらに輝きを保ったまま緩やかに使用感が残っていくという画期的なものだ。
経年変化素材に魅力的な選択肢が増えたことは、うれしくも、悩ましい。
※本文中における素材の略称:K18=18金
柴田 充、髙村将司、オオサワ系、まつあみ 靖、戸叶庸之=文