現代の高級時計にとって欠くべからざる要件のひとつがデイリーユースだ。
どんなに価値があっても工芸品のようにしまい込んでいては意味がない。普段使いでその真価をいつも味わってこそ満足が得られる。
これが現代の多様化するライフスタイルに合ったラグジュアリーであり、ラグジュアリースポーツと呼ばれる時計に人気が集まるのもこうした理由からだ。
デイリーウォッチの代表格として筆頭に挙がるのがロレックス「エクスプローラー」だ。ノンデイトの質実剛健なスタイルは、オンオフを問わない万能選手として世代を超えて支持されている。
誕生は1953年。既に’30年代からロレックスはヒマラヤ登山隊の装備品として時計を提供し、その過酷な環境を実験場にしてきた。そしてさらなる目標に定めたのが最高峰エベレストだった。そのフィードバックから稀代の名作は生まれたのである。
精度と堅牢性、信頼性の熟成を重ね、 ’90年には現行のフェイスデザインに近づく。一方で2010年には従来の36mmから39mmへとケース径が拡幅された。
これも視認性の向上を含む、機能を追求した結果であり、その存在感を増したサイズも当時の感覚からは決して大きくはない。だがタフネスが強調された印象は否めないだろう。
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