■マッチョな「限定パンダ クロス4×4」
チンクエチェントが万人に愛される見た目に振ったコンパクトカーだとするならば、パンダは実用性に振ったモデル。
そのパンダに度々追加されるのが、ほぼ必ず6速MTが組み合わされる4WDモデル、なかでも最近続けて販売されているのがパンダ クロス4×4だ。ポップな見た目で、中身は硬派。
何しろ0.9Lの2気筒自然吸気エンジンを6速MTで操る楽しさがある。これはほかの車ではなかなか味わえない。
最高出力なんて85psと軽自動車の64psよりちょっと高いだけにもかかわらず、バツグンに気持ち良く、自動車評論家たちにもすこぶるウケがいい。
もちろん肝心の4WD機能にも抜かりはなく、普段は前輪を駆動させ状況に応じて瞬時に後輪も駆動させてくれる。また「オート」「オフロード」「ヒルディセント」の3モードから選べるドライブモードも備えている。
パンダの母国・イタリアなら北部にあるアルプス山脈の麓を、こいつで雪煙を上げながら走るのがオツ。日本なら、視線を浴びながら走れる愉悦を、この一台はくれるだろう。
■ヨーロッパが詰まった特別な「スイフト」
日本では軽自動車のイメージが強いスズキだが、海外ではスイフトをはじめコンパクトカーメーカーとして知られている。
なかでも同社初の世界戦略車として2000年に登場した初代スイフトは、ヨーロッパで人気のラリー(ジュニア世界ラリー選手権)に参戦したこともありよく知られている一台だ。
2004年に登場した2代目のときはヨーロッパに開発拠点が置かれ、アウトバーンなど向こうの道を走り倒して開発された。
こうした知見をもとに、2016年に登場した現行型は地元静岡県内の工場で生産されている。ヨーロッパでのノウハウと、ジャパンクオリティが融合した車なのだ。
このスイフトのスポーツバージョンがスイフトスポーツ。
全長はノーマルと同じ4mに満たないサイズなのに、全幅は1735mmのため3ナンバーになる。実はこれ、5ナンバーサイズなんて規制のないヨーロッパサイズ。つまりスイフトスポーツはヨーロッパ用ボディが与えられているのだ。
加えて専用のエンジンチューンや足回りが与えられている。6速MTと6速AT、どちらも楽しい。スイフトの中でも特別な一台がスイフトスポーツ。小さなボディにみっちりヨーロッパ風味が詰まっている。
籠島康弘=文